内容説明
晴れて夫婦となった鈴子と孝冬。孝冬の裏稼業である“お祓い”に用いる十二単の霊・淡路の君を退治することに決めた鈴子は、同時に育ての親たちを殺した「松印」を持つ人物を捜していた。ある日、以前お家騒動があったと噂の多幡家の跡継ぎが、孝冬不在の花菱家を訪れて……。大正時代の東京を舞台にした悪霊退治ファンタジー第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさか
74
2023年5月光文社キャラクター文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。黄昏の客人、五月雨心中、金の花咲く、の3つの連作短編。和装の準備をするお付きのタカとそれに意見を添える鈴子というシーンがとても楽しげで面白い。後半はそこに小間使いのわかが加わるので更に楽しくなる。和装の描写が美しく、できれば実物を目にしたい。現在の基準から考えると鈴子も孝冬も年齢以上の振るまいをする時があるが、大正時代というのは、こういった覚悟が必要な世であったのかも。淡路の君の謎は気にかかります。2023/06/03
はなりん
68
孝冬と鈴子が段々と夫婦らしく、それぞれが相手を大切な存在として想い合っていく感じが良い。幽霊を間に挟んでいるのもあって、静謐な感じなんだけど、2人の間は温かくて安心感がある。花菱家の秘密や宗教家の不穏な動きなど、これからどんな展開になるのか楽しみ。2023/08/12
はにこ
57
新婚生活が充実していて何よりだねぇ。孝冬はどんどん鈴子にぞっこんになるしw鈴子はクールなんだけど、花菱家を内から良くしようとしているのが良いね。この時代の華族って凋落した家もたくさんあったんだねぇ。体裁を守るだけの結婚とか離縁ってかわいそうね。2024/02/19
sin
56
看板に掲げている訳ではないが“お祓い”が出来る華族という評判があるから怪異が転がり込んでくる。それだけでは単調なので関わりあう人物も怪異をまるで手土産の様に寄り集う…お互いが出逢って夫婦になって、まだほんの短い間に立て続けに怪異に遭遇するのは出来すぎかもしれないが物語としてのテンポがよくて引き込まれてしまう。夫が妻を慕う様も、妻が次第に夫に心を寄せてゆく様子も好ましい。今回は出番の少ない“上臈”だが、その沈黙の存在が夫妻の行く末に影を投げかける様で恐ろしい!2023/08/27
はつばあば
51
着物の描写もさることながら色や宝飾と随分前に読ませてもらった「下鴨アンティーク」。華族ともなるともっときらびやかで上品な・・装飾品に唸る事しかできない(#^.^#)。鈴子さん16才にしてしっかり嫁として内助の功を尽くしながら孝冬を籠絡。?違う、この時代には珍しく自己主張ができる女性であり、他の姉達や兄達と仲のいい家族関係が孝冬の一番になったのかも。鈴子の千里眼と孝冬の裏稼業・花菱家の悪霊退散ファンタジー。♪やっぱりねぇ♪そうだろね~。まだまだ続きそう。前作を忘れないうちに次をよろしくお願い致します 2023/08/03