内容説明
一九三〇年,日本統治時代の台湾に生まれた蔡焜霖(ルビ:さいこんりん)は,読書が好きな少年で,教育者になることを夢見て育った.戦争の色濃い時代は日本の敗戦で終わったが,戦後は国民党政権による新たな支配が始まり,ある日,町役場で働く焜霖のもとへ憲兵が訪ねてきて…….白色テロの深い傷を描いた台湾の傑作歴史コミック,第一巻.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
台湾の少年1 統治時代生まれ
年代記
さらに物語を読み込むために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
32
物語コミック。一巻では、日本占領下の1930に台湾、台中清水街に生まれた蔡焜霖(さいこんりん)少年が20歳になり私服憲兵に連行されるまでを描いている。日本に占領され日本語を使わさせられている子供時代。日本の敗戦により中国に復帰するも、今度は北京語を使わさせられたり、国民党と共産党の争いに巻き込まれ、漢人との軋轢を経験する青年時代。現在に至るまで続く中国本土との諍いの歴史の始まりである。戦時中は徴兵や動員、空襲も描かれているが日本より平和な雰囲気がする。日本嫌悪も朝鮮半島より薄い気がするのは誤解だろうか?2025/03/29
スイ
22
蔡焜霖氏(恥ずかしながら私は今作を読んで知った)を主人公にした伝記的な漫画。 温かみのある絵がとても良いのだけど、描かれている内容は、淡々としつつも胸をえぐる。 日本統治下に生まれ、皇軍が勝つと信じさせられていたこと。 戦後、日本語ではなく北京語を話さねばならなくなり、自分の名前さえ言えなかったこと。 一巻は衝撃的な場面で終わる。 続編を読みたいし、日本でも広く読まれて欲しい。2023/01/08
にたいも
15
後に台湾の児童文化に大きな足跡を残す蔡焜霖さんの伝記グラフィックノベル1巻。日本統治時代から戦後の混乱期に至る大変な時代を描くが、ほのぼのとした絵と真面目で本好きの焜霖少年の性格もあって、心静かに読み進む。家族や友だちと話す台湾語、日本統治下の公の場で使うことを強いられた日本語、復帰後の公用語北京語の3カ国語が交じる中で、台湾語の訳語として選択された訳者の故郷の瀬戸内ことば(例:なんちゃー)は苦肉の策かと思うがいい味。かわいがってくれた姉の夫にやきもちをやく5歳の焜霖がかわいい。続きを読むのが待ち遠しい。2023/10/24
Midori Matsuoka
14
先生に教えてもらった、グラフィックノベル。 日本統治時代の台湾に生まれた蔡焜霖氏の目線から当時の台湾の様子が描かれている。 勉強したいと入った中学なのに、時代のせいで軍事訓練や国のために働かされる焜霖少年、淡々と描かれているけれど、言語統制や他国に翻弄されることなど、負の歴史を目の当たりにすると日本人として申し訳ない気持ちになる。 どんな中でも本を読み学ぶことに意欲的な焜霖少年には希望がもてる。 なのに…!の1巻終盤。続きが気になる。2025/02/22
Sakie
13
1930年、台中生まれの少年が主人公。父の世代は大陸からの渡来組だが、少年が生まれたときには日本の統治下で、日常は台湾語で、公の場では日本語で話す生活を強いられている。のみならず、進路は日本も選択肢に入り、学徒出陣、日本軍により南京が陥落したときは「わしらが勝った」と話している。その被占領者の"日本人"感覚を、私は理解しあぐねたままずっと抱えている。さて、この漫画は4巻まであるが、1巻は既に終戦を経て国民党支配の時代に移っている。この漫画の主眼が日本占領だけでないことに遅まきながら気づいた次第。2025/07/06
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