内容説明
仕立物を納めている鶴屋孫兵衛の頼みで、「加賀屋」という油屋に縫子として通うことになったお竜。
働き者で評判の「加賀屋」の主人・宇兵衛だが、連れ合いが辻斬りにあい、小さい男の子を抱えて商売を切り盛りする日々。亡くなった連れ合いとお竜の仕事をしている姿が似ていると話を聞いた孫兵衛が、加賀屋に通いで行くように頼んだのだった。加賀屋の息子・彦太郎に懐かれるお竜は、忘れていた母性が目覚めるが、宇兵衛がときおり見せる「暗い影」が気になりだし、盟友の井出龍之介と宇兵衛をさぐると思いもかけない過去が……。
時代小説界のニューヒロインの活躍にご期待ください!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
137
仕立屋お竜第3弾!今回も面白くてあっと言う間に読了してしまった次第。一話目と二話目で、お竜さん乞われて後添えになるのかと思いきや、だよねぇと勝手にひとりごちて、最終四話で「あたしには守り神ついているのだ」と。そう言うお竜が私は好きだ!(笑)もう次が楽しみでならないのは私だけじゃないはずだ。2023/03/05
タイ子
77
仕立屋お竜、またの名は「地獄への案内人」。彼女がまた一つ新しい顔を見せた、母性という自分でも気づかなかった胸の内。仕立ての仕事を請け負う呉服店の主からある大店の仕立てを依頼されるお竜。通いで来て欲しいとのこと。妻を亡くした店の主、姑、義理の息子・彦太郎。商売繁盛、家族の仲も良く…。しかし、お竜の周りで起こる不穏な影と主の過去。彦太郎を守るためお竜たち裏の仕事人が動き始める。やっぱ仕事人たちカッコいいな。いつかお竜も家族が出来ればと思うが、難しいか。。。2023/02/26
とし
76
仕立屋お竜「名残の袖」3巻。今回も面白く読み終えました。 彦太郎に懐かれて、母性本能がめざめてどうなることか少しびっくりでした。2023/04/07
やま
65
女を虐げる悪党を斬る仕立屋お竜の活躍の物語です。江戸は三十間堀三丁目の裏店「八百蔵長屋」の住人お竜は、新両替町二丁目の呉服店「鶴屋」から依頼された仕立物を仕上げるのを生業にしている。が、お竜には、仕立屋ともうひとつ「地獄への案内人」という顔を持っている。これは、この世にのさばん悪人を、地獄へ送り届けるという、裏家業である。2023/05/23
真理そら
56
「母」「名残の袖」はつながりのある内容。お竜さんの母性他の優しさ可愛さが感じられて気持ち良く読了。両親を失った彦太郎はかわいいし、加島屋のおぬいはかっこいいし、加島屋の主・宇兵衛は誠実だ。後妻に入ってもよさそうな設定だけれど…「大きな声じゃ言えませんがね、あたしは人殺しなんですよ」ということで。お竜が平穏な日常を知り、人を信じてもいいという気持ちを知り、母性に目覚めるという流れでこのシリーズは進んでいる。次巻ではついにお竜は恋に目覚めるのだろうかと期待している。2023/02/12