内容説明
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広島、長崎に投下された原子爆弾の被害に恐れをなした日本は、ついに降伏を決定。連合国総司令部は矢つぎばやに人権確保の改革、財閥解体、天皇の神格化否定などの処置をとる。平和憲法の公布を機に復興のつち音が響く。しかし世情は不安定なまま、昭和電工事件、松川事件と続き、そして朝鮮戦争の火が吹く。
昭和22年5月3日日本国憲法が施行された。戦前の軍国主義を反省し第9条で戦争放棄をうたった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小鈴
23
衛生兵からタバコで果物やタピオカと交換できると聞き、ふらふらしながらも何度もチャレンジして森の人と親しくなり食べ物をもらう。そうこうしているうちに切り取った腕から赤ちゃんの香りが。ここで初めて「内地に帰れるかも」と思う水木さん。終戦。軍医に現地除隊して森の人と暮らしたいと相談すると、腕の切断面から骨が出ているから帰って再手術するように進められ帰国を決意。終戦後も帰国船が来る前にマラリア等で亡くなる者も多かった。帰国後は「生きているというただそれだけのことがメチャクチャ嬉しかった」状態が二年続く。2020/12/12
HIRO1970
16
⭐️⭐️⭐️図書館本。2015/05/17
とんかつラバー
13
マラリアにかかり片腕を失い形ばかりの収容施設に。治療など出来ず放置されるだけ。うめき声があふれ、明け方に「おかあちゃん」と叫ぶとその人は翌朝死んでいる。まだ生きているのに隣の人と間違えられ埋葬されそうになる。漫画的創作でなく全て実体験。いよいよ戦局は悪化し日本は降伏を考え始めるがgdgd会議をしてるうちに原爆2発。御前会議が行われるが、最後まで徹底交戦を主張する陸軍のバカども。そして終戦しても餓死するかもしれない日々。2024/01/07
三平
12
今回は自伝分が多め。 復員したはいいものの、空腹の毎日。ヤミ米の買い出し代行、芋を恵んでくれる教会への入り浸り、秘密(?)結社への入会、魚屋開業、募金旅行、借金抱えてのアパート経営、紙芝居作家といきあたりばったり。それでも生きていけるのが戦後のドサクサによるものなのか。 もちろん激動の戦後で人生破滅した人も大勢いたのだが、水木サンは運がいいのか、運を引き寄せる胆力があったのか。 とにかく思うのは、あの時代をよく生き残り次世代にバトンを渡してくれた我々のご先祖様はエライ! 本当に感謝です。2019/08/25
KJ
11
まさに「生きること」が至上命題とされた終戦直後の混沌とした様子が伺える。右から左へ。そしてまた左から右へ。激しく揺れ動く価値観が、より一層混乱に拍車をかけたのだろう。また、新宗教の勃興や陰謀説が囁かれる未解決事件など、混乱の狭間に生じた謎めいた時代の空気も感じられる。2012/12/25