〈世界史〉の哲学 現代篇1 フロイトからファシズムへ

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〈世界史〉の哲学 現代篇1 フロイトからファシズムへ

  • 著者名:大澤真幸【著】
  • 価格 ¥2,299(本体¥2,090)
  • 講談社(2022/07発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065284483

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内容説明

今回われわれは、「近代篇」で見出した、西洋近代を成り立たせているメカニズムーーとりわけ「宗教としての資本主義」ーーの最終的な結果として、精神のエディプス的な構造がもたらされている、ということを示してきた。エディプス・コンプレックスの理論は、一九世紀近代を成り立たせてきた諸契機が結集することで生まれたものだ。この点を明らかにしたことには実は、さらなる狙いがある。この後、フロイトの理論に、とてつもなく大きな転回が生ずる。このことは、近代の後に、そして近代の延長線上に大きな断絶が現れることを示唆している。この断絶こそが「現代篇」の主題となる。(第1章より)

目次

まえがき
第1章 資本主義とエディプス化
第2章 もうひとりのモーゼ
第3章 絶望としての信仰
第4章 永劫回帰の多義性
第5章 〈しるし〉が来た
第6章 権力への意志と死の恐怖
第7章 「気まぐれな預言者」と「決断する主権者」
第8章 ふたつの全体主義とその敵たち
第9章 もうひとりの「もうひとりのモーゼ」
第10章 ヨーロッパ公法の意図せざる効用
第11章 〈ラッセルの逆説〉と〈ヘーゲルの具体的普遍〉
第12章 大英帝国(ブリティッシュ・エンパイア)から
第13章 第三帝国(ダス・ドリテ・ライヒ)へ
第14章 特殊と普遍の弁証法的関係
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

36
著者の他の本のレビューをみると意図を取り零しているものがあり勿体ないと思うが、本書に限ってはもっと多くの読者が意図を掴みかねるのではないか。フロイトが晩年に書いた『モーセと一神教』におけるモーセはふたりいるというテーゼ。この謎めいた論考は、最初のモーセは配下のユダヤ人たちに殺され、もう1人の劇場的で気まぐれなモーセが現れる。2人目のモーセは死んだ父が死んだ後に本当に登場するように、エディプス・コンプレックスを広めたフロイト自身の父親との無意識的な関係を説明するという。ここまでは十分に理解できる。ところが12022/12/24

kuppy

2
フロイトが晩年あたかもユダヤ教の真実であるかのように書いた二人のモーゼ、エジプト人で厳格な戒律の守護者である初代モーゼは殺され、気まぐれなユダヤ人のモーゼが現れる。宗教と密接な際限ない増殖を特徴とする資本主義を軸に、ユダヤ人の殲滅をもくろむナチズム、内部に敵を作り闘争を繰り返すスターリニズム、意外なことにローズベルト大統領のニューディール政策が並列される。この三つの体制が二人目のモーゼなのであろうか。<世界史>を哲学するというありそうでなかった論説ではないだろうか。2022/10/21

MrO

1
いよいよ、現代編へ。やっと資本主義の牙城に辿り着いた。下巻が楽しみ。ファシズムを通して、スターリニズムを分析するところは面白い。2022/08/10

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