内容説明
遅れた封建ヨーロッパの中世末期になぜルネサンスと宗教革命という相反する運動が同時進行したのか。ラテン語で書かれた聖書を読めないカトリック信者のジレンマとはいかなるものか。科学革命のハイライトともいうべき「万有引力」は、合理的思考が忌避する遠隔作用ではないのか。西欧だけがなぜ近代へと飛躍しえたのかという謎が今、解き明かされる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
41
かなり迂遠な議論ですが、神か人かどっち付かずなキリスト教の揺らぐイメージの不安が起源となって近代性と資本主義が胎動したと要約できるのではないかと思います。反対に信仰が揺らぐことのないイスラム教はそんな不安もないため取り残されたと理解することが出来ます。抑圧したものの回帰、キリストの身体が王の身体に転移するなど精神分析的な考え方が散見されますが、この議論の大きな流れが同じ問題に回帰してくる、同じところをぐるぐる廻っている神経症(歴史)の治療のように、ある特異な見方の正常化のために時間を掛けているといわれそう2022/04/11
みのくま
8
本シリーズは、まず「西洋を理解する事が現代のグローバル社会を理解する事に繋がる」という前提がある。確かに政治、経済、文化芸術、生活習慣に至るまで、ぼくたちは西洋起源の文物に囲まれて生きている。だが、果たして無意識下における精神性までぼくたちは西洋起源に侵食されているのだろうか。ぼくは本シリーズを読み進め、古代から中世、近世とミステリのように西洋の謎を解いてきたわけだが、より一層この問いが深まった。本書の主張する通り、西洋起源とはすべてイエス・キリストの事であるならば、それは全く普遍性などないと断言しよう。2019/08/29
マウンテンゴリラ
2
歴史とは何か、西洋とは何か、東洋とは‥。このように問うこと自体、歴史家、哲学者ならぬ、一般の読書人には、そして日本人には苦手なことであるように思うが、それを更に、普遍的哲学にまで高めようとする、著者の意気込みと博覧強記振りは十分に感じられた。近世に至って、いよいよ西洋の躍進、侵略される側からすれば暴走と言えるかもしれないがー、が顕著になってくる。その社会背景として、西洋のみに特徴的な出来事として、大航海、宗教改革、ルネサンスとそれに伴う科学革命と言うのは、人口に膾炙されたことでもある。→(2)2021/01/16
MrO
1
古代篇から始まって、実に長い旅でした。最後の最後までつきまとうのは、キリストが神でありながら、身体をもって死んだというキリストの二重性。最後は、ニュートンの万有引力で終わる。また、古代篇から読み始めよっかな。2018/03/21
kuppy
0
シリーズ3冊目です。なぜ西洋諸国だけが大航海に乗り出すようになったのかとの問いから、資本主義、キリスト教の三位一体、王の二つの身体、宗教画の変遷などから論を展開。宗教画の前景から静物画が、後景から風景画が分離したというのは目から鱗であった。美術館での絵画を見る目も変わるかも。神であり、人であるキリストを形作っていった使徒たちが現代までの西洋優位を期せずして生み出したという壮大な仮説です。全シリーズ読んだら難解ではなるが世界史の深い理解につながると感じる。2018/01/04
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