内容説明
近代の後に、そして近代の延長線上に大きな断絶が現れることを主題とした「現代篇1」ではフロイトからファシズムまでを論じた。次に探求すべきは「アメリカ」なるものの歴史的な意味は何かである。
熱心なキリスト教国でありながら冒涜的なまでに世俗的、平等を強く唱えながら差別的人種主義が根深く残る。トランプが体現する逆説のアメリカ。どう成立し、いかなる論理と原理によって存立しているのか?
アメリカ的なものへの過激な批判者ハイデガーがどうしてナチスに加担したのか、という問いから考察していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
46
アメリカはヨーロッパの後継者となったが、資本主義の成功だけでなく黒人差別でも発揮する過剰さはどこからくるのかという問題が扱われている。キリスト教と資本主義の思想的な近接性とは、資本主義とは終末論的な過程が反復されることだ。終末が次の終末を誘発すると、かえって真の終わりには到達することができない。この「到達することができない」ことから過剰さが生まれる過程を読み解くというのが本書の大まかな流れだが、苦難の神義論と幸福の神義論のところや、古代ローマを範としていることにアーレントの議論から導くなど、細部にこだわる2026/01/23
confusion_regret_temptation
25
哲学をベースにしているだけに自分には難解に過ぎるところも多かったがアメリカという国の掲げる自由と同時に孕む不自由、矛盾を炙り出してくれた。特にキリスト教に対するヨーロッパとは異なる信仰性やどうしても無くならない黒人差別感情など、大変興味深い内容だった。2025/10/06
tokko
8
西ヨーロッパで生まれた資本主義が、どうしてこれほどまでにアメリカで発展したのか。アメリカのどこに資本主義との親和性があったのか。アメリカの政治が何を目指していたのか、アメリカの宗教が何を起源としていたのか、アメリカの文学(とりわけロストジェネレーションと呼ばれる作家たち)が何を描こうとしていたのか、多岐にわたる分析からアメリカの「なぜ」を紐解く。リベラルな国家であるはずのアメリカで、なぜ根深い人種主義が見られるのか。これを読めばアメリカの行動原理がわかる(かもしれない)。2026/03/05
kuppy
3
1900年からのアメリカ経済絶頂期に、なぜロスジェネ作家の作品が流行したのか。南北戦争後奴隷解放を行った自由、博愛の国アメリカがなぜ今日までいたる黒人差別が続いているのかについての考察。背景として最後の審判での天国か地獄行きかが日頃の行いと無関係に決定してしまっていること、終わりのない資本主義の増殖(貨幣→商品→貨幣”)、奴隷として強制的に連行したのにも関わらずルーツ(第三者の審級)を亡くしたニグロへの深層的な嫌悪など、哲学の基礎がないとかなり難解な部分もある。はたしてアメリカはどこへ向かっていくのか2026/09/24
chiro
3
トランプ第二次政権以降のアメリカはまさにcivil warが現実化するのではないかと思わせるしここのところの左翼への弾圧はそれを想定しての動きと思わせるものがある。著者はアメリカが抱える独自性を「なぞ」の視点から紐解いているがその中でも個人的に理解できていなかった黒人差別がなくならない点についてはかなり根深いものがあるのだと驚かされた。自由を標榜した国がその自由を捨ててうちにこもり自説を曲げない頑迷さで突き進むのであると世界は混迷を極めそうだ。2025/09/23
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