内容説明
異界の美男美女が乱舞する鏡花戯曲の三大名作──「天守物語」「夜叉ケ池」「海神別荘」に加えて、友人の独文学者・登張竹風と共訳した初期の珍しい佳品「沈鐘」(ハウプトマン原作)、非業の死を遂げた〈お友達〉たちの秘密が明かされる「多神教」、吉原大火の記憶を池の蛙と緋鯉が語り合う「池の声」、三島由紀夫と澁澤龍?を熱狂させた晩年の「山吹」、幽霊劇の極致「お忍び」を収録。日本文学の頂点を極める、必読の名作ばかりを蒐めた、不朽の一巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさ
25
文豪怪奇コレクションの泉鏡花戯曲編。『夜叉ケ池』も『天守物語』も好きで読んできているけど、その前に『沈鐘』を読むとより魔の世界に浸れますね。戯曲で構成されたこの1冊、鏡花の描く妖怪(と人間)の世界たっぷりでした。2023/01/02
春風
8
鏡花戯曲の三大名作『天守物語』『夜叉ケ池』『海神別荘』を網羅する、文豪怪奇コレクション泉鏡花の戯曲編。鏡花の小説というと、擬古文に所々に体言止めの見られる特異的な文体で、初読では意味が取りづらいイメージもある。しかしながら、本作に収録される戯曲はほぼ全編口語体で、登場人物の掛け合いが軽妙であり、古い漫画を読んでいるような感覚で読むことができる。化け物が喋り、人外の笑声を響かせ躍動するこの戯曲は、お化けの隊長・泉鏡花の面目躍如たるものがある。2022/06/27
SOLVEIG
2
全く初めてのものと、なんとなくザックリ話は知ってたけどちゃんと読むのは初めてなものと。「沈鍾」は初めて知った作品だけれど、何故か懐かしいような妙な感覚。 「夜叉ヶ池」「海神別荘」「天守物語」はそうだったのか!という部分が色々。 「池の声」「山吹」「多神教」「お忍び」はどれもお初で、まだちょいと消化不良(なんでこのタイトル?とか)なのも。 小説篇同様、物語世界は好みなんだけれど、どうも読み辛い。文書が肌に合わないのかなあ……などとふと思ったりもするのだけれど、嫌いという感覚ではない。読み方が悪いのかなあ?2022/06/17