内容説明
時は江戸。如月庵は知る人ぞ知る小さな宿だが、もてなしは最高。かゆいところに手の届くような気働きのある部屋係がいて、板前の料理に舌鼓を打って風呂に入れば、旅の疲れも浮世の憂さも消えてしまうと噂だ。人のいい部屋係・お蕗はよく庭の花の手入れをしている。だが、花が好きだというのは表向きで、じつは庭に埋めた金を毎日確認しているのだ。実はその金は、お蕗が奉公していた家の金で――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
78
シリーズ第5弾。絶品料理とおもてなしの如月庵、ここで働く人たちはそれぞれ秘密を抱えて生きている。初回から1人づつその秘密を明かしながら、宿泊する客たちの人生模様を描いてきたわけだが、今回は部屋係のお蕗の裏話。何だかミステリじみた展開が面白い。お蕗はある事で大金が入った壺を宿の椿の下に埋めている。そこにやってきた新入り女中の柏という女。夜な夜な何かを探り始めた柏の行動が気になってお蕗は睡眠不足&食欲不振に。お蕗VS.柏の壺横取り作戦はいかに?!今回は悩み多き若者の客が多くて、その行く末も清々しく面白く読了。2021/11/20
やま
73
こんな宿が有れば、是非泊まりたいと思うお宿です。江戸は上野広小路から湯島天神に至る坂道の途中にある、噂の隠れ宿「如月庵」で部屋係として奮闘する梅乃17才と紅葉18才の物語です。此度は、如月庵に10年務めて、植木の世話をし、草木を育て部屋係として働くお路34才の秘密が明らかになります。お路は、13才の時から女中として働いていた家のおばあちゃんが土の中に隠した五十両が入った壺を火事騒ぎの時に掘り出して、如月庵の庭の椿の根元に埋めています。その壺が…。🌿続く→2022/04/08
kagetrasama-aoi(葵・橘)
35
「お宿如月庵へようこそ」第五巻。十三夜の巻。前巻の感想、次巻は女将のお松の話?と予想していましたが、はずれました(苦笑)。今巻は庭の手入れを積極的にする(理由があります)女中”お蕗”が中心。梅乃と紅葉の甲斐甲斐しく接客する様子、頼もしく読みました。第四夜の「富士を仰ぐ村」は泊まり客との関わり等、読後感が爽やかで素敵なお話でした。気になったのは第二夜の「酢いかの災い」です。今も昔もこういった問題の解決は難しいのはわかります。でも、災いの中心人物が別の学問所に変わったことで丸く収まったんでしょうか?2022/04/29
らび
32
今日も「如月庵」には訳ありな客人が逗留してます。お稲さんの話が和みました。そして部屋係のお蕗が抱える心配事が新しい女中・柏の登場で一気に加速!どうみても怪しい柏ですがまんまと盗まれてしまいそうでハラハラしました。まああっけない結果になりましたが、これでお蕗さんも肩の荷を下ろせたでしょう。2021/12/29
はにこ
29
今回の秘密はお蕗。なかなかいけないことしていたな。。今回は若者がメインゲストの話が多かったかな。酢いかの源太郎、鴻鵠の慎三郎、富士を仰ぐの奏太郎。皆悩みながら成長していくんだね。紅葉と梅乃も少し大人になったね。さて、次は誰の秘密かな。2022/08/22