内容説明
私を見つけてくれて、ありがとう。
すべては変わってしまった。
唐突に、劇的に。どうしようもないほど残酷に。
けれど、ひとりで塞ぎ込む時間を、彼女は与えてくれなかった。
「あの日のあなたがそうしてくれたように。今度は私が誰よりも朔くんの隣にいるの」
――1年前。まだ優空が内田さんで、俺が千歳くんで。
お互いの“心”に触れ合ったあの日。俺たちの関係がはじまったあの夜を思い出す。
優空は言う。
「大丈夫、だいじょうぶ」
月の見えない夜に無くした何かを、また手繰りよせられるというように。
……俺たちの夏は。まだ、終わらない。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海月
72
一旦の区切り巻みたいで上手くチーム千歳の結束感がわかる作品。いい感じにヒロインたちの過去も分かった。過去フラグとも言うべきなのかね?人によっては結局振り出しやんってなるのかもしれないけど自分はこの結末はありかなと思います。 しかしまだ続巻あるけどどんなふうに物語を作っていくのだろう?それが今の楽しみですな☆2023/04/18
よっち
55
唐突に劇的に、どうしようもないほど残酷に、全てが変わってしまった夏休み。孤独に塞ぎ込もうとする朔に優空が寄り添うことを決意する第六弾。優空と朔の関係が始まった一年前のあの夜。衝撃を受けて動揺し葛藤しながらも、自分なりのやり方で懸命に朔を支えようとするヒロインたち。そして不器用だったあの子の秘めていた真意。傷ついた朔を大切に思う人たちは、孤独になることを許してくれなくて、これまで言えなかった本音をぶつけ合って、どうにかみんなで乗り越えられた結末でしたが、ヒロインたちの優しさと強さに心揺さぶられる思いでした。2021/08/18
オセロ
47
夕湖の一件でそれぞれ自分の気持ちと向き合う中で、不器用ながらも彼らを気遣う友情にはグッとくるものがありました。特に健太の意見は的を得ていたかと。 また、優空が朔に救われた話には胸が熱くなりました。 そして夕湖の告白の真意には複雑な気持ちを覚えますが、その覚悟には痺れましたね。 ラストは衝突した仲間達が本音でぶつかり合って前に進めてなにより。 これで物語も折り返しということで次巻も楽しみです。2021/08/19
わゆ
38
読了。6巻ですが、事実上の5巻後編です。 5巻ラストの衝撃の展開を登場人物全員の視点で描く。各人の受けた衝撃・思い・行動が描かれる。非常に綺麗で尊くて、でも汚くて曖昧。でも登場人物全員の生の心情が吐露されていて、読んでいて何度も何度も泣かされた。心内描写の凄みは、今巻が1番ではないだろうか。 今回の表紙となっている優空も、これまで深堀りがほぼ無かっただけに、今巻ではたっぷりページ数を割いて描かれる。想像以上に辛い話だった。 読後感は5巻とは違い、気持ち良いものだった。夏の終わりに、夏の終わりの物語をぜひ。2021/08/23
如水
33
始めに…ラノベ文庫で600P強って中々久し振りな感じ💦で、始まりは前巻の続きから(だから5章から始まる)…朔が取った行動は回りにどう影響を及ぼすか?と一目散に駆け付けた優空が中心となる巻。優空がリア充となったきっかけ等が分かります、が…ぶっちゃけ朔奪取レースに一番リードしているのが優空で有り、優空じゃないとオカシイ様な気がするのですが…どうなんでしょう?とまぁそれは置いといて、改めて『朔』と言う人間が良く分かる巻でした。普通此処迄悩むか?いや、悩むからこそこの物語は成立する!次巻からの朔の行動が楽しみ。2021/11/18