内容説明
ひと月前に、品川界隈に巣食う妖怪・強葉木谷の卑弥呼を退治した小籐次と駿太郎は、老中青山忠裕の案内で、江戸城表の白書院で将軍・家斉に拝謁することになった。家斉のみならず、老中を筆頭に幕閣要人、御三家や大大名の前でふたりは来島水軍流を披露し、さらに自作の「ほの明かり久慈行灯」の光の中で懐紙を切り分け、雪か花火かという幻想的な風景を演出し、喝采を浴びた。
数日後、小籐次は、駿太郎が赤ん坊だったころに乳母を務めてくれたおさとと再会する。おさとの舅は名人と呼ばれる花火師だったが不慮の事故で体を壊して引退し、さらに余命数か月という病床にあった。舅が死ぬ前に、半端な花火職人の義弟が作った花火を見せてやりたいというおさとの願いを知った小籐次は、一計を案じる――。
不景気で隅田川の川開きの花火の開催が危ぶまれるいま、小籐次は隅田川に見事大輪の花火を打ち上げることができるのか!?
書き下ろし第12弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
159
今回はなんと上様に拝謁することに・・安定の!シリーズですが、今回は花火師親子の情も伝わり、ちょっとぐっと来ました。駿太郎は、ますます真っ直ぐ成長して・・次は親子三人旅ですか。いよいよこのシリーズも佳境を迎えるのでしょうかね。2018/09/09
KAZOO
113
これで佐伯さんの本は積読がなくなりました。ここではついに上様に拝謁します。そこではお酒の対決で、剣の対決はなしでした。着物や息子へ刀剣のおくりものがあったりさらには4斗樽がいくつも送られてきます。それをうまーく処理する話が後半にもってきています。その間には團十郎が美人局の被害にあい、それを解決したりと楽しめます。次は息子の実の両親の出身の丹波篠山へ親子3人で旅する話のようです。2018/11/12
とし
107
新・酔いどれ小籐次「夏の雪」12巻。お~なんと親子で公方様に拝謁しかも真剣を振るって来島水軍流を披露とはビックリな展開、過去数々の難題の無償事件解決を、一夜の花火で返してもらいましたね。次巻は小籐次、おりょう、駿太郎親子の鹿島への旅立ちですね。2018/09/07
初美マリン
79
あー、面白かった!どんどん話が大きくなり、ついに将軍様と対面することから始まります。ここまでくると楽しい!2018/10/20
TakaUP48
48
今回の件は、おおよそ空蔵の読売に書いてある。「白書院の広場で、小籐次・俊太郎父子は来島水軍流正剣十手の形を披露し、その後上様の前で所望した五升入りの金杯の酒を一気飲み。余興で懐紙を取り出し、あれよあれよと夏の雪を降らせ、俊太郎も色紙を切って、隅田川の花火の如きを見せたという」さて、その後は「俊太郎が乳飲みで世話になったおさとの義父が花火職人の名人。大事故の後は不振状態、そこに小籐次が大金を持って花火の依頼だあ」書いてないのは、義弟・団十郎の色事の後始末に小籐次が乗りだし、南町奉行所の厄介者を成敗の一件。2021/08/31