内容説明
夫の転勤先の東京で、幼馴染の平岩と再会した果歩。しかし招かれた平岩家は不気味な砂が散る家だった。怪異の存在を訴える果歩に異常はないと断言する平岩。おかしいのはこの家か、それとも、わたしか――?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
298
比嘉姉妹シリーズ第3作で砂まみれの家を舞台に描かれる緊迫のサスペンスホラー小説の傑作ですよ。幼馴染の男の家に招かれて砂まみれの怪異に翻弄される人妻・果歩と子供の頃に同じ家で幽霊屋敷体験をしてから人生が狂い引きこもりとなった男の語りが交互に進行し、比嘉琴子が後半に登場して同級生だった男と共に怪物「ししりば」の家に乗り込んで行く。著者は豊富なアイデアでホラー小説にミステリー要素の騙しを仕込んで中だるみなく最後の最後まで緊張感を持続させて長編小説に仕上げる手腕が素晴らしいですね。老犬・銀の活躍も良かったですね。2025/11/05
夜間飛行
232
昔の級友から家に招かれるのは気が重い。優しかったおばあさんは寝たきりになり、床には砂が積もっている。微かな違和感…は、訪問を重ねるにつれ真っ黒な裂け目を見るような恐れと嫌悪に変わる。でも断れない。この辺り、人を断ち切れない心理は自分にも覚えがあるだけに気持悪かった。その生ぬるさのせいで、おぞましいものの全体像が現れるまでのっそりと肌を撫でるような時間が流れていく。このじれったさが何ともいえず怖い。家の中は外と違う時間が流れており、それが人間関係を歪める。魔物は家という空間および時間に住むのだろう。20172020/06/21
bookkeeper
155
★★★★★ 初読。夫の転勤で東京に引っ越してきた果歩。知らない土地、多忙ですれ違う夫婦生活。満たされない毎日を送る彼女は旧友の平岩と再会し、彼の家に遊びに行くが…聞こえて来る女の呻き声、そして部屋に降り積もった砂…そこは怪異に襲われた異常な家だった。 子供の頃に同じ家を訪れ、社会生活を送れなくなった男と、霊感を持つ比嘉琴子が「ししりば」に挑む。今回も怪異が強大無比。毎回比嘉さんは命懸けです。引きこもり生活の五十嵐君が勇気を出して怪異に、そして社会に対峙していこうとする姿が感動的。うーんハズレがないなぁ。2022/06/19
absinthe
115
比嘉姉妹シリーズ。話がますます面白くなる。何か妖しいいわくのある不思議な家の物語。家が人を取り込んでいくのだが、その原理が不思議で興味深いのだが。振り回される人間達。この作家は、日本の伝統的な物の怪の話に見せかけて現代的なホラーを描く。全二作よりその風味が増している。3作続けて面白いというのは凄いな。2024/11/12
ぶち
109
【ひとり怪談/ホラー祭り2022夏】家の守り神の話。でも、壊れていて機能不全で暴走している。そんなの神じゃないよ。家に住んでいる人を訪ねたら、その守り神に侵入者と誤認されて襲われる! 神のような圧倒的な力があるので、すごく恐いです。読んでいる間ずっと砂のジャリという幻覚を足の裏や口に中に感じていて、砂に恐怖を覚えてしまいました。でも、比嘉琴子が幼少の時代の出来事にきっちりとオトシマエをつけてくれました。猫好きの私ですが、指笛に応えて駆けつけてくる場面では、"ワンコ、カッコいい!"と思ったのでした。2022/07/30




