内容説明
姦通をテーマに“愛のカオス”を描いた大作。
“第三の新人”を代表する作家・小島信夫が、文芸誌「群像」に1968年10月から1981年3月まで、全150回に亘って連載した“執念の大作”ともいえる全6巻の序章。
第1巻には第1~22話までを収録。幻想のごとき脆い夫婦関係を描いた名作『抱擁家族』から17年を経て、主人公は三輪俊介から前田永造と変貌したが、本作でも「姦通」をテーマに据えている。
夫婦の愛、男女の愛、人間の愛のカオスを複層的、かつエネルギッシュに描き、伝統的な小説の手法を根底から粉砕した文学世界が展開される。第38回日本芸術院賞、第35回野間文芸賞を受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
22
大長期連載の1巻目。ためしに手に取ってみたけど、これはむずい……。会話のわかりづらさや、時系列のカオスは狙ってやっていることだろうが、それがなぜなのか、なにを描こうとしてるのか、そもそもなんの話なのかが、全然見えてこない。じゃぁつまらないかというと決してそういうわけでもないからややこしい。年を重ねてから読むとまた違ったりするのだろうか。一時撤退します。2024/02/19
でろり~ん
2
この作品と寓話は是非読みたいと思っていたものでしたが、P+D、やってくれましたですね。寓話の方は保坂和志氏との関連で難しいんでしょうかね。期待していますが。相変わらず話の横スライド。妄想と記憶と現実とをないまぜにした書き方でありながら、読ませる力、というんでしょうかヴォイスはしっかりあるということが不思議です。彼と妻という表現で物語が始まって、次第に生活環境とともに名前が明らかになる。なんでまたこういう方法を選んだのでしょうかね。どの家族も一通りではないですね。にしてもノブサ、しゃべり過ぎなんでないかい。2019/12/28
アレカヤシ
2
(そう思うとき、急に彼は京子の眼で自分を見はじめているともいえる。といっても、それは彼の思う京子の眼であることは、勿論である)P137 永造の一人語りで物語がすすむようで。だけど永造を(彼)というように著者?の視点になったりして統一感がなく読み辛い。永造の意識の流れ、想像、推測で展開していっているようで、時間もあちこちにジャンプして行ったり来たりするので混乱しがち。だけど、本の後半になって、だんだん慣れてきて面白くなってきた。なかなか憂うつな雰囲気だけど、第六巻の最後まで読み続けることが出来るだろうか?2019/12/01
犬猫うさぎ
1
京子にとって、この家は、自分という男は、ほんとうはどう見えているのだろう。自分が何かに愛情をかんじるその瞬間に、京子のことを忘れてやしないか、と思うからだろう。そう思うとき、急に彼は京子の眼で自分を見はじめているともいえる。といっても、それは彼の思う京子の眼であることは、勿論である。(p.137)2021/10/09
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