内容説明
今度の依頼は見合いの立会い!? 猫ザムライ・宗太郎はいつか人の姿に戻るべく、江戸の町で日々善行を積んでいる。しかし色恋沙汰にはとんと鈍い。そこへ人間だったころの許嫁・琴姫が助太刀を買って出たからさぁ大変! 正体を明かせずにいる宗太郎に、何かと世話を焼きたがる琴姫。宗太郎は素性を隠し通せるのか、見合いの行く末は――。仔猫の田楽も大活躍で大繁盛、人気時代小説シリーズ第五巻。
目次
琴の手、貸します
田楽の目、貸します
あすなろ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
94
“炬燵開き”など江戸の風物詩も楽しめるシリーズ5巻目。「炬燵は人に根を生やす。」私も根を生やしながらこの作品を読んでいる。体調不良の宗太郎に変わって琴姫が手を貸したお見合い。「正直であることと、誠実であること」は確かに違うな。宗太郎は誠実の見本みたい。琴姫との仲もほのぼの進展。宗太郎の背中を見て育った仔猫の田楽。健気に頑張る姿が可愛くいじらしい。幼いながらも“もののふ”の心意気が伝わった。ホロリと人情(猫情)溢れた心温まる作品。タイトルから縁起良い【2019年読み始め】2019/01/02
ふう
88
どうやら今年最後の読書になりそうです。宗太郎の許婚琴姫、宗太郎をててうえと慕う錆び猫の田楽、そして人見相の親子が中心となる三話。人のために働く宗太郎の姿を見て、自分も善行を積もうと奔走する琴姫と田楽がけな気でかわいくて、作品としても猫の手屋の稼業としてもスピンオフかなとにんまりしてしまいました。人見相の章では、親子のお互いを思う気持ちが胸をうちます。とくに迷子地蔵の話はじんときました。炬燵開き、御事始めなど縁起を担いだ江戸時代の風習等も楽しめます。笑う猫には、いえ、笑う門には福来ると信じて読書納めです。2018/12/29
ぶち
87
表紙の絵に田楽が登場してきました!私、田楽の大ファンなんです。この表紙も永久保存です。宗太郎を実のてて親と慕い、てて親と同じ猫の手屋になるため、二本足で立つために手拭いを頭にのせて一生懸命に踊る姿は、けなげで、いじまくて可愛らしい。"ごめんニャさい"などと幼児言葉がぬけないくせに、てて親の宗太郎をまねて、"それがし""ちょこざいニャ"などと武家言葉をしゃべるのも微笑ましい。 許嫁の琴姫に手玉にとられているような宗太郎も、いじらしく微笑ましいです。二人の仲がどう進展していくのかも楽しみとなったシリーズです。2018/11/30
みやび
40
シリーズ第5弾。新年にピッタリ、タイトル通りのほっこり出来る物語ばかりでした。今回は宗太郎ではなく、許嫁の琴姫や里子に出された仔猫の田楽が活躍する話がメインだった気が。琴姫は絶対に猫太郎の正体を知ってるよね( *´艸`)そして田楽ちゃんは、てて上だと思っている宗太郎と口調がそっくりになっててかわいい(*´꒳`*)お絹坊のために頑張る姿が健気。あすなろ先生の話では互いを思いやる親子に少しホロッと来ました。宗太郎はあとどれだけ善行を積めば百に達するのかしらねぇ…2019/01/06
ギンちゃん
39
シリーズ5作目。久しぶりの田楽ちゃんが少しずつ逞しくなっているようで、なんとも微笑ましくってこちらも嬉しかったです。琴姫と宗太郎の関係も気になるところですが「ひょうたん長屋」での騒動もなんとか良い具合に落としどころを見つけてほしい。その後が気になるのでいつかの再登場を期待したいです。2018/07/03