内容説明
罪人が化け物に見える青年・遠野青児は、わけあって借金をかかえネットカフェを泊まり歩く放浪生活を送っていた。そんな中、迷い込んだ洋館で、白牡丹の着物をまとった美少年・西條皓(さいじょうしろし)に出会う。皓はある使命を受け、鬼の代わりに罪人を地獄に届ける「地獄代行業」を営んでいるという。そんな皓は、持ち前の観察眼から青児の窮状を見抜き、住みこみの助手として屋敷で働くよう誘う。なし崩しで助手として働くことになった青児は、旧家の令嬢からの一家に災いをもたらしている「鵺」を対峙してほしいという依頼を受け、皓とともに旧家・獅堂家に乗り込むが、そこには血縁に絡む怨念が渦巻く事情が・・・。旧家での連続殺人、ライバル探偵・凜堂棘との推理合戦、数々の困難に巻き込まれながら、青児は少しずつ自らの役割を自覚し、どこか寂しそうな皓も、青児との関わりの中、少しずつ笑顔を取り戻していく。罪人を地獄に届ける謎の少年と世に絶望したニートの事件簿!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aquamarine
96
ときどき人が化け物に見える遠野青児が放浪生活中に迷い込んだのは、牡丹の着物をまとった美青年・西條皓の住む洋館。彼はその特技を買われ、彼の助手として働くようになるのですが…。妖ものといったら憑き物落としを想像してしまいますが、これはまた違ったアプローチ。分類としてはホラー風味のミステリでしょうか。青児の見えるもの、皓がすること、二人の関係等、想像以上に楽しんで読み進めていました。皓の仕事柄、内容は陰鬱なものなのですが読みやすかったです。是非続巻も読んでいきたいです。2019/07/10
ままこ
89
人が犯した罪を暴いて裁く地獄代行業を生業とする美貌の少年皎。皎の助手として働くことになったは青児は罪を犯した悪人の姿が化け物として目に映る。板子一枚下は地獄。やるせなく陰惨な場面もあるが皎と青児のやりとりがほのぼのとしていて読みやすいライトノベル的ホラー。皎と棘の因縁の対決も面白そうだし続編が出れば読んでみようかな。2018/08/07
りゅう☆
88
青児は他人の姿が化け物に見える時がある。それが見えた時、不幸がある。ある日、西條皓の元でバイトをすることに。実は彼の仕事は閻魔大王の業務の肩代わりとして、罪人の罪を暴いて地獄に堕とすという地獄代行業だった。妊娠後夫が自分を避けるようになったという妻、我が家を祟ってる鵺を退治してほしいという女性。そこに隠された罪。おぞましい形で死へと導かれる。必ず解決するも「死を呼ぶ探偵」こと凜道棘と皓の因縁とは?そして皓の所に辿り着いた青児もある罪を抱えていた。結構グロいんだと思うけど、皓の毒舌と青児の軽さで緩和される。2020/03/29
だりあん
83
妖怪、迷い家、美少年、探偵…大好物がそろってる…。助手からペット扱いになっていく不幸体質の主人公。…『さあ、オマエの罪を数えろ』と某仮面ライダーの台詞が頭の中で…(;・∀・)………アップルパイ食べたくなってきた…。2018/08/02
★Masako★
79
★★★+魔王の子であり半妖の美少年・西條皓(ひろし)が住む館に、誘われるようにたどり着いたニートの青年・遠野青児。実は青児には、人の犯した罪が妖怪の姿として見えてしまう力が。そのせいで皓の助手として悪人の罪を暴き地獄に送る仕事をすることに。人の心の醜さを暴く重めの内容ではあるものの、皓と青児のやり取りが面白く軽妙で読みやすい文章、謎解きもしっかりしており、とても楽しめた♪ライバルの探偵・凛堂や謎の人物・小野篁も興味深いキャラ!続編が近々出るようなので、待ち遠しい。2018/10/06