内容説明
特集 中国を超える華人文学
世界中に散らばる「華人」。商才、故国への離反と忠誠などのイメージが先行しているなか、記号としての「華人」はしばしば一つの物語となる。
そもそも「華人」や「華人文学」とは何か。便宜上の分類もあれば、イメージをすくいあげるための装置にされた場合もある。文学を通して「華人神話」の真の姿に迫る。
ノーベル文学賞受賞者・高 行健、SF作家ケン・リュウらが寄稿。
感想・レビュー
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うーひー
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前号からの三浦雅士の連載「世界史の変容・序説 中国宋代から考える」が面白かった。今夏上海でインターンした際、夏の上海や蘇州の風景・風俗が、日本とあまりにも類似していて驚いたが、その理由につき示唆深い連載だった。曰く、日本が歴史的に受容した文明としての「中国」が、宋代の中国であったという点が指摘され、文明としての徳川日本と、宋代中国のアナロジー、ないし繁栄する開封と江戸の都市文化のアナロジーが指摘されていた。気候や風土だけでなく、「文明」の重なり合いが、中国江南の風景をどこか懐かしいものにさせたらしい。2017/12/25