内容説明
【特集】共有される日本文化
「日本文化」は存在するのだろうか。
存在するのはそれぞれの作品であり一人一人のクリエーターであり、「日本」と呼ばれる領域的空間で区切られる場で長期にわたって展開してきた無数の「文化」について語ることに、どれほどのリアリティがあるのかが問われるべきだろう。
もちろんそれは「日本文化」に限ったことではない。
イギリス文化、フランス文化、イタリア文化、中国文化についても同様に問うことができよう。
困難を承知で我々はやはり「日本文化」を語ってみよう。
ただ「日本文化」も他のいかなる文化と同様、固定したものではなく、流動と凝結を繰り返してきたこと、そして「日本」の内と外の間で、そして様々な「日本」の間で、相互作用と相互浸透を繰り返してきたことを心にとどめながら。
「日本文化」は「日本」の専有物ではない。
それは非「日本」によって消費されるだけではなく、再生産され発展させられ、そして創造されてきたことに思いをいたそうではないか。「日本」に住む我々自身が、気づいていない「日本文化」を再発見し、新たな文化の試みに乗り出すために。
與那覇 潤/四方田犬彦/井上章一/大塚英志/徳丸吉彦/太田省一/岡本浩一 [論考]下斗米伸夫/アンドリー・ポルトノフ/宇野重規 [追悼]粕谷一希 [連載]「リズムの哲学ノート」山崎正和ほか