内容説明
グローバル化の進展に伴い生じた,既存の国家とは異なる「公共空間」。第1特集では,この空間における法制度の展開や主権国家の役割等につき,国際法・国内法の視点から分析を加える。第2特集では第193回国会で成立した組織的犯罪処罰法・性犯罪に関する刑法の改正について,その概要と理論的課題を検討する。
【特集1】グローバルな公共空間と法
特集にあたって…酒井啓亘・浜本正太郎・森 肇志
I 総論的考察
私的規範形成のグローバル化がもたらす正統性問題への対応…伊藤一頼
「グローバル法」をめぐる正統性問題…浜本正太郎
国内法の国際法適合的解釈の意義…山田哲史
グローバル化時代における法の把握…寺谷広司
グローバルな公共空間の法哲学…近藤圭介
グローバルな秩序形成への示唆…西谷祐子
II 各論的考察
公共空間のグローバル化と国内行政法の変容…原田大樹
グローバル化時代における国際環境法の機能…児矢野マリ
商取引法の国際的統一と国内的な実施・解釈・適用…小塚荘一郎
グローバル法多元主義の下での抵触法…横溝 大
【特集2】刑事立法の最新動向
I 組織的犯罪処罰法改正
改正法の概要…加藤俊治
その意義――条約による国内刑法の発展…今井猛嘉
改正の問題点…松宮孝明
II 性犯罪に関する刑法改正
法改正の概要…田野尻 猛
改正の意義と課題…角田由紀子
【連載】
現代訴訟の論点と法理論の検討…道垣内弘人・朝倉佳秀ほか
〔論究の芽〕最高裁における憲法判断の方法─調査官解説を示唆とする内在的分析の試み…木下昌彦
〔判例詳解〕最三小決平成29・2・21…松井智予