内容説明
おなじ「妖精が見える目」を持つカイとランスは、幻想的生命体が関係する事件を扱う組織、英国特別幻想取締報告局から招待され、ロンドンに滞在することに。 カイの後輩で行方知れずの幽霊・美柴を捜して訪れたパーティで知ったのは、街のゴーストたちを襲う“死神”の噂。 巻き込まれて危機に陥った二人を助けたのは――。 深まる幻想世界にますます引き込まれる、シリーズ第3弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
96
第3弾の舞台は ゴースト密度の高いロンドン。ファンタズニック(幻想生命体取締局)本部を拠点に展開する。意地悪なクラスメートや厳格な先生が出てくると、途端に『ハリー・ポッター』風味が強くなるが「愛」とか「勇気」とか声高に言わない冷めた主人公達が今風。紅茶を飲むシーンが多くて、中でもエルフが淹れた奇跡の味の紅茶が気になる。ロンドンっ子は現実世界でもこんな風にゴーストを温かく見ているのかな。2016/11/18
mocha
80
再読☆英国特別幻想取締報告局本部(長っ!)へ呼び寄せられた本当の意味は?ゴーストに寛容な街ロンドンを舞台に、ランスの過去やゴースト達の哀しみが描かれる。エドも鞠子も美柴も愛すべき面倒くささ。カイ同様ウィッツバリーののどかな景色が恋しくなった。2018/05/13
カナン
46
ハイドに呼び出され舞台は倫敦へ。生者でも死者でも見送る時は一緒だ。また逢えることをただ願うだけ。生者と死者が交わす約束は千切れた綿のように柔らかく、それはきっとぬくいのだろう。そして約束が途切れた時、潰えた時に、泣くことが自由なのは当たり前だ。けれど「泣かなくてもいい」というランスの言葉がカイと私の胸をそっと刺す。簡単に壊れて元通りにならないものがこの世には多過ぎて、砕け散った欠片をひとつひとつ辿りながら歩み、ふと立ち止まる時に涙は出ない。そういう人もいたっていいんだと、ランスはそっと赦しを与えてくれる。2020/02/03
アン
37
イギリスの田舎町からロンドンへ呼び出しを受けたカイとランス。報告局の本部があるロンドンには、ゴースト当然のように沢山いて新たなキャラも登場で更に面白くなってきた。ヴォルフさんのおもちゃ屋に住みつく少年のゴースト・リヴァーもその一人。ヴォルフさんとの優しい約束にウルっときました。どうかその日まで無事でいて(ゴーストに無事でと言うのもおかしいけど)。今回のロンドンでのストレスでランスへの当たりがきつくなっていたカイと、それに言い返すランスの関係は紛れもなく友達よね。リヴァーが羨ましがる姿が少し切なかった。2017/06/08
はるき
35
何だかんだ、甘くないシリーズ第三巻。私の中で、少し肌寒い夕方のイメージです。生きることに不器用な二人の少年に、暖かな日差しがさす日が待ち遠しい。2017/11/13