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内容説明
「日本の『神』は、昔の言葉で表せば、たまと称すべきものであった」--。霊魂、そして神について考察した「霊魂の話」や、文献に残る絵図とともに詳説した「河童の話」、折口古代学の核心に迫る「古代人の思想の基礎」など十三篇を収録。巻末には、『古代研究』に収められたそれぞれの論文の要旨の解説にくわえ、「折口学」の論理的根拠と手法について自ら分析・批判した「追い書き」も掲載。
解説・加藤守雄/安藤礼二
【もくじ】
呪詞及び祝詞
霊魂の話
たなばたと盆祭りと
河童の話
偶人信仰の民俗化並びに伝説化せる道
組踊り以前
田遊び祭りの概念
古代人の思考の基礎
古代に於ける言語伝承の推移
小栗判官論の計画 「餓鬼阿弥蘇生譚」終篇
漂着石神論計画
雪まつりの面
「琉球の宗教」の中の一つの正誤
追い書き
解説 折口信夫研究 加藤守雄
新版解説 霊魂としての神 安藤礼二
収録論文掲載一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
11
この本の編纂時に書きはじめられた、喪中の折口による『追い書き』は、無用の人、子供部屋おじさんとしての折口の心情が綴られていて、なかなか切ない。 目的を持ち、旅に出かけた折口の行動力は、そう自虐するようなものでもないのだろうが、生産性という尺度や、誠実さからいえば、良からぬものだろう。 この本は詩人による学問で、折口民俗学はもしかしたら朗読すべきものかもしれない。文字には響きはない。 解説にもあるが、折口は、国家神道を完全に否定している。 昭和初期にこの本は勇気あるものだった思う。2022/05/15
あかつや
3
民俗学篇最後。『古代研究』全体の中でも後期の論文が収録されているそうで、折口がこの研究で到達した最終地点とも言える。見所はやはり最後の「追い書き」だろう。自身による全体の総括のようなもので、論理的根拠や手法についても言及されている。あと「河童の話」「古代人の思考の基礎」なんかも面白かった。学問とは関係なく、ただの娯楽の読書として読み流したにすぎないけど、それでもこうやって一塊を追っていけばそれなりに身に付くものはあるようで、おなじみな言葉も増えて最初の頃よりずっと楽に読み進めることができるようになったよ。2023/06/24