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内容説明
「本論を読み解く上で、これ以上に優れたシリーズは他に存在しない」(安藤礼二)
折口にとって「古代」とは単に歴史の時代区分を示すものではなかった。熊野への旅で光輝く大王崎を眼前にし、その波路の果てに「わが魂のふるさと」を感じたことを「かつては祖々の胸を煽り立てた懐郷心(のすたるじい)の、間歇遺伝(あたいずむ)として、現れたものではなかろうか」と記す。「古代研究」はまさに彼が実感を通して捉えた、古代的要素の探求なのである。全論文を完全収録する決定版!
解説・池田弥三郎/安藤礼二
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
47
全編興味深い所ばかり。著者の初の出版書籍。にもかかわらずその後の全てが収められている。全編是詩ともいえる「妣が国へ常世へ」から始まり、常世やまれびと、琉球神道に依代と、折口民俗学の必須ともいえるものが、全て詰まっているのは何とも凄まじい。解説によると最初に書かれたのは「髯籠の話」であるというが、そこにはもう神が依代によって降臨するという思想の骨格が出来上がっているしなあ。あと各編の書き出しが何とも言えず味わいがある。「妣が国へ常世へ」はいうに及ばず「若水の話」もまた。歌人、詩人の面目躍如といった所か。2017/08/04
やんも
8
すんなり読むには、ある程度古事記や日本書紀、当時の言葉などについての知識が必要であるけれど、なにかとっかかりがあれば、興味を持って読めるようになるし、わからないところがあれば、ググればなんとかなるものだ。自分にとって本書のとっかかりは複数回にわたる沖縄探訪を元にした、折口曰く「琉球神道」の論。琉球怪談や伝承などを読んでいると必ず目にするユタやノロ、御嶽、拝所、ニイルピト、ニライカナイ等が、ここでも繰り返し語られており、そこから好奇の心が生まれ(学究の心ではない・・・)、俄然読みが進むのである。2017/03/12
∃.狂茶党
6
「史外」そう言った言葉も折口は検討してたそうですが、このサイコダイヴ的な、あるいは『賢者の石』で用いられた、精神的な時間旅行で、書物や、儀礼などから、神の問題に向かっていく行為は、詩的直感も相まって、学術的には微妙かもしれない。 (けど吉野裕子の方が大胆ですね) 「理会」竹中労の用いるこの言葉を、折口も使う。 理解よりも宗教的というか精神的な言葉、ロマンティックな意識だ。 ところで、依代って、折口が作った言葉なの? 歴史浅すぎる。2022/03/17
あかつや
2
日本文化を様々な角度から多角的に研究したもの。普段なにげなく使ってる言葉や物の意匠から、はるか昔の人々の思いを汲み取るってのが民俗学の面白さだと思っているが、折口信夫の場合はそれが神々の世界とも接続されるのがいいよなあ。ロマンを掻き立てられてワクワクするよ。そこにある言葉や物はなにもある瞬間ポッと現れたんじゃなく、神様の時代から連綿と受け継がれてきたものなのだ。これはつまり神様や当時の人々とコミュニケーションが可能だということで、タイムマシーンに乗って時代を遡っても大丈夫、きっと話せばわかってくれるよ。2022/12/10
murasaki_study
1
読んだには読んだんだけど、普通に難しいくて分からない所がほとんどなので何回も読み直したい本2017/12/09