内容説明
帝国から亡命を図るアルデラ教徒に、捕虜収容所から脱走したエルルファイ少将をはじめとするキオカ海軍が加わることで、一気に力を増す敵を目の前に、出征しきていた女帝シャミーユは安全のために東へと移動する。一方、〈不眠の輝将〉ことジャン率いるキオカ陸軍&アルデラ神軍に東から追撃されて、マシュー少佐らは西に向かって撤退していた。やがてシャミーユとマシューたちは合流する。しかしそれは、彼らが東西から敵に挟まれることを意味していた。シャミーユ、トルウェイ、マシューたちカトヴァーナ軍が陣取ったのは、垂直を越える角度で切り立つ峻険な崖が南北に数キロにもわたって続いている卓状台地の上。地形を利用して、なんとかキオカ軍の攻撃を防ごうとするのだが、ジャンの意外な策略によって、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。もはやこれまで……と思ったとき、そこに現れたのは――! 胸の熱くなる展開に涙する第10巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
72
そして、戦場に旭日が昇る。夜闇を払い、光を放ち、良い子にも悪い子にも、等しく恵みと安らぎを与えながら。下手でもいい、ご都合主義でも、王道でもいい。何が悪い。だって彼が帰って来たんだから!いっくんにとってヤトリと歩んできたのは、彼が彼そのものへとなるアイデンティティの道。騎士団の皆と歩んできたのは彼が強くなる為の道。そして今、彼女の隣に並び立つ彼は一体どんな道を選ぼうとしているのだろう。頼もしくある半面、危なかしくも見える。光が強ければ強い程、その光が落とす影も色濃くなるのだから。でも今は皆の食卓を喜びたい2016/10/31
まりも
66
精霊達が存在する世界を舞台にした重厚な戦記物語の10冊目。シャミーユたちの窮地を救うために、遂にイクタが戦場に舞い戻る話。うぉおおお、この時を待っていた。第二部が始まってからずっとストレスの溜まる鬱々とした展開が続いていただけに、イクタ復帰からの快進撃及び、様々な問題に決着をつける展開の数々は爽快感と熱量たっぷりで、最高に胸が熱くなりますね。騎士団も崩壊しないで何より。まぁ、まだ問題は山積みなわけですが、今回の新キャラ達がどんな活躍をしてくれるのか楽しみです。2部もここからが本番やね。次巻も期待してます。2016/07/09
Yobata
54
ジャン率いる部隊とキオカ海軍の脱走部隊に挟み討ちにされてしまったマシュー,トルウェイ,シャミーユの帝国軍。不眠の輝将の知謀により全滅寸前の戦場の中に日はまた昇る…。イクタ帰還‼︎前回ヤトリの思いを受け継ぎ立ち上がったイクタがついに前線に。やはりこのシリーズはこうでなくちゃねw悪帝の衣を被っていたシャミーユも膝の上に乗っけて,次世代の白兵戦に気負っていたトルウェイの心も解き,マシューには相変わらずのちょっかいと…w瀬戸際ギリギリだった帝国の空気を一気にガラッと変え、ジャンとの三度の戦いにも勝利すると→2016/11/03
よっち
51
撤退戦を繰り広げたマシューたちと出征した女帝シャミーユが合流するも東西から挟撃され、ジャンの策略で絶体絶命のピンチに陥った時ついにイクタが現れる第十弾。着々と手を打って帝国軍を追い詰めてゆくジャンの策略。帝国軍内で暗躍するパトレンシーナ、絶体絶命のピンチにようやく現れるイクタ。ジャンの必勝の策をことごとく覆してゆくイクタは凄まじくて、彼の復帰で今後に向けた新たな布石も打ち、仲間たちの中でいろいろ失われかけていたものも取り戻せて本当に良かったです。まだ課題は山積ですけど次巻を読むのが楽しみになってきました。2016/07/09
ナカショー
43
ホント素晴らしいの一言に尽きる。イクタが復活するだけでここまで雰囲気が変わるんだと思い、改めてイクタの偉大さをしりました。第2部始まってからここまで鬱屈とした展開で、読むのがつらかったのですがそれを吹き飛ばす快進撃の連続で気付いたら読み終わってました。次巻も非常に楽しみです!2016/07/31