内容説明
神田の貧乏長屋にすむ砂絵かきのセンセーを始めとした大道芸人たちは、雨や雪の日は商売に出られず、長屋にこもって、なめくじみたいに寝ころんでいる。そんなおかしな面々が、市中で起きた奇々怪々の事件を解決する人気の捕物帳シリーズ。本格推理に江戸風俗を巧みに織り込んだ著者円熟期の筆捌きが堪能できる『ときめき砂絵』と『いなずま砂絵』の2冊を合本!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Norico
13
なめくじ長屋の面々と下駄常さん以外で、続けて登場は珍しいパターン。世を拗ねたイヤな奴かと思いきや、一本気の不器用な奴ともいえる小動さん。切ない終わり方。センセーかっこよすぎ。ハードボイルドです2021/05/12
ドナルド@灯れ松明の火
8
なめくじ長屋シリーズ9/10作目。ますます人情味が滲むが、ラストの「めんくらい凧」では、殺されてしまった、人のいい浪人の為についに刀を手にその腕前を発揮するが結末が切ない。残るはあと1冊(さかしま/うそつき砂絵合作本)のみ。このあと何を読めばいいんだよ。都築さん。2011/04/07
へいぞー
4
その日暮らしで宵越しの銭は持たないって言う江戸っ子気質が、この作品読んでいたら実感出来ます。たまに纏まった額が入ることがあるのだから、引っ越しは無理でもちょっとこましな着物買うとか、いざと言う時の為にひたすら貯めるなどの小市民的な行動とは無縁ななめくじ長屋の面々。現代の疲れた人々よりも実は幸せなんだろうなあ。ちょっと本気モードのセンセーがカッコ良かった5作目でした。残り1作なのが残念。2018/03/13
Radwynn
4
「めんくらい凧」ラストの台詞が心に痛い。センセーは優しいよ、人の心が判り過ぎる、それが判って、でもどうしようもないのが、そりゃ、辛いだろう。珍しく心の底から怒って白刃を抜くセンセーの静かな痛みがこっちにも響く。しかし正直に告白しておくと不機嫌なセンセーも格好いいよね、と思ってしまったのも確かだ。人情ものに分類される話の比率が徐々に高くなって来たように思うものの、人物消失トリックなどもあって飽きさせない。神田のお祭りには一度行ってみたい、でももう江戸時代のようではないのだろうけど。2011/10/03
つめ
2
今巻はガンニンちゃんと出てくるね。いつもいないかいない扱いなんだもの。そのせいかたまたまか、銭にならない事件ばかり。だけど下駄常には嬉しいことばかり。二話続けて門之助が出てきたけどやっぱり死んだか。センセーは平馬を斬ったのだろうか。辛くてどうにもならなくてセンセーに甘えたかった気持ちはわかる。2020/01/24