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内容説明
ロークの長としてアースシーを治める大賢人ゲドのもとに,ある国の王子が知らせをもってきた.彼の国では魔法の力が衰え,人々は無気力になり,まるで国中が死の訪れをじっと待っているようだと.一体何者のしわざか.ゲドはアレン王子を連れ,見えない敵を求めて旅立つが,なかなか正体はわからない.ゲドは覚悟を決める.
目次
目 次
1 ナナカマド
2 ロークの長たち
3 ホート・タウン
4 魔 法 の 灯
5 海 原 の 夢
6 ローバネリー
7 狂 人
8 外海の子ら
9 オーム・エンバー
10 竜 の 道
11 セ リ ダ ー
12 黄泉の国で
13 苦しみの石
訳者あとがき
少年文庫版によせて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
150
ハイタカとアレンの力量に差がありすぎて、ハイタカが一方的に世界を語る物語になってしまう。とうとうさいはての島、最強の敵クモとの直接対決。バランスが崩れつつある世界。詩人は歌を忘れ、呪い師は魔法を忘れ、染師は染め方を忘れてしまう。大事な事、現代の大量消費文明を風刺してるのか、自分の仕事を忘れて、誰もがまがい物を作る世界になっていく。世界の何かが狂っていくのだが、理由が分からないその怖さ。ラストは伝説にふさわしく、とても良かった。2023/08/10
おたま
67
この物語の前史にあたる『影との戦い』や『こわれた腕環』は、まだ自分なりに解釈することができた。しかし、この『さいはての島へ』は難解だ。今回読むのは二回目だが、以前に読んだときにも、何が書かれているのかよく分からなかった。アースシーと呼ばれるゲドの世界で、魔法(この場合は、手品的なものではなく、世界の真相を知りそのバランスを取り戻す「叡智」のようだ)が効かなくなり、そこかしこで世界のバランスが崩れていく、その原因は何か?そこに人間が望んではならない「生と死の不分明」があるようだ。2024/02/15
NAO
58
ゲド戦記は、「死」と深くつながっている物語だ。『影との戦い』でゲドは死者の霊を呼び出し、『こわれた腕環』では、死者が支配するアチュアンの墓所に入り込んだ。そして、『さいはての島へ』は「死」そのものがテーマになっている。さらに、ゲド戦記は人の一生を描いている、ともいえるのではないだろうか。ゲドは壮年、壮年期はまだまだ力はあるが今までと違って死に近くなっている。ゲドは死力を尽くして戦い、その傍らでアレンは成長していく。ゲドは、すべての力を出しつくしてアレンに後事を託す。世代交代である。2025/01/30
くたくた
57
3巻目。壮年に至りロークの大賢人となっているゲドのもとに、エンラッドの若き王子アレンが凶報をもたらす。世界の各地で魔法が失われている。ゲドは原因を探り、世界に均衡を取り戻すためにアレンを供に船出する。ジブリアニメ・宮崎吾郎監督の『ゲド戦記』の原作としてこの本を知った人も多いのでは。私も盛大に期待を膨らませて公開を待ち、なにか変なものでも喰った気分で映画館を後にした一人ではある。しかし、こうしてあらためてこの本を読んでみると、それなりに原作に忠実にやろうとはしていたのかな、とは思った。2025/03/04
ネギっ子gen
52
【過去を否定することは、未来を否定することだ。人は自分で自分の運命を決めるわけにはいかない。受け入れるか、拒否するのかのどちらかだ。ナナカマドは根のはり方が浅いと、実を結ばない】 破れ目が出現したため、裂け目ができ傷が生じてしまった、アースシーの世界。ロークの学院長たる大賢人ゲドの下に、エンラッドの王子が知らせを持ってきた。魔法の力が衰え、人々は無気力になり、死の訪れを待っているようだという。いったい何者の仕業か? 老いたゲドと若き王子は、正体不明の敵を求め、“災いあるところ”である死の淵へ旅立つ――。⇒2022/04/11