内容説明
夫の浮気が原因で離婚した恭子は、小学生の娘と二人暮らし。ある夜、学生時代の友人晴美が訪ねてきた。相談があるというが……「隣の女」。病弱な姉を支え、独身のまま五十代を迎えた静江。姉の乗った飛行機が墜落したと知らせが入り……「凶事」。夫の隆男は嘘をつく。結婚してよくわかった。このままではいけないと思い詰めた律子は……「嘘つき」。ドンデン返しの技が冴えるブラックユーモア11編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
110
阿刀田高8冊目/作者の自薦による11篇の短編集◆数篇は以前に読んだことのある話だったが、それも含めて楽しめた。阿刀田高の真骨頂はやはり短編だと改めて思わせる作品群。恐怖という点はさほどなかったが、ラスト数行まで別のことを読書に想像させておいて、そうきたかという展開にもっていく手法は、古臭さは感じられず見事だ。(まあ、一部は予想どおりだなと思った話もあったが...) もっと阿刀田高を読みたくなった。 ◆一番やられたと思った「隣の女」/どうなるどうなるの「運のいい男」/嘘だろの「嘘つき」「ホームタウン」2020/05/06
takaC
66
大好きです、どんでん返し。見事です、先生。2013/12/18
koromo
29
最初はちょっと古いかなーって思ったけど、ひたひたと仄暗いものが忍び寄る描写がたまらない。そして結末を、わかりそうなところまで書いてあとはポーンと読者に投げるのも心憎い! こちらを読んだきっかけは、同じくブラックユーモア短編集というジャンルに括られる『幸福な生活』を読んだこと。読メで「阿刀田高のほうが上品」といった感想を見かけたからです。それには納得。『〜を知っていますか』シリーズで、まだよく知らない宗教についても学びたい。2015/08/30
青葉麒麟
29
最後の落としがピリリと効いている。本当に人間って色んな面を持っているんだと思う。現実の日常の片隅で起きてそうな程のリアルさがある。2013/06/04
下町ロコモーティブ
20
*大御所の阿刀田さん初読みです。「隣の女」、「凶事」、「ギャンブル狂夫人」など11作のブラック・ユーモア短編集です。すべての作品が最後の最後の数行でストーリーの展開ががらりと変わり、約30年前の作品集ですが、とても新鮮でお洒落な印象を受けました。自作解説で著者は全ての11作品に亘りドンデン返しの美学や創作に至った経緯などを熱く語っています。あとは、宮部みゆきさんの”鑑賞エッセイ”が最後に記されています。一作品で中身が充実した三作品を楽しむ事が出来た様な満足感で一杯です。2018/09/19