内容説明
怨敵「会津七本槍」の四人までを討ち果たし、加藤明成に迫る復讐の刃! だが見よ、七本槍衆の総帥、不死身の妖人芦名銅伯の自信に満ちた不敵な笑いを――。慈僧沢庵をともない、敵陣会津に乗りこむ柳生十兵衛と堀一族の七美女。彼らを待つは、驚天動地の地獄の幻法「夢山彦」。妖異壮絶の大対決、最高潮へ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinnov
38
嗚呼、何たる奇想、何たる漢武。妖艶にして残虐の極み。地獄極楽屍山血河。今この生温い世の中で、面白さと活劇をのみ突き詰めたエログロ爽快痛快妖怪な大活劇物語を読み耽る幸せ。忍法は登場しない忍法帖だが、幻術や奇妙奇天烈摩訶不思議な剣術、果ては豪傑純朴寡の純真と肉欲媚麗な怪女の乙女の祈りまで、あらゆるアイデアが、惜しみ無く留まる事なく投入された、作者以外誰も形にできない唯一無二の娯楽作。2024/03/21
bookkeeper
33
★★★★☆ 再読。加藤明成を追って舞台は会津へ。そこは黒幕の芦名銅伯と配下の芦名衆らも待ち構える敵の本拠地だった。敵討ちの悲願は成就するか。 それまでの堀一門の女性vs会津七本槍から、柳生十兵衛vs芦名銅伯へと変わった感じ。銅伯は強いというより面倒臭い奴(笑)で、若干テンポが悪くなった気が。それでも、編笠に鶯をとまらせた十兵衛が鶴ヶ城へ単身乗り込んでいく場面や、漆戸虹七郎との決闘など、めちゃめちゃカッコいい。上下巻の長さが全然気にならない。先生、絶好調ですねー。 「柳生十兵衛、はじめて見参つかまつる」2020/04/26
紫伊
21
時代物はほとんど読んだことがなかったけれど、引き込まれた。仇の為復讐を誓う女たちとそれに協力する十兵衛。修行や助太刀、垣間見える思いがとても格好良い。そのうえ女への弱さや優しさなど人間臭さもあって魅力的。異次元の戦いになっていくところや敵味方問わず食えない老人たち…と展開も面白かった。印象に残ったのは女と共に旅する雲水たち。その生きざまに痺れた。ラストのシーンはとても格好良い。また短いシーンだけれど隻腕の剣士とのところがすきだった。2019/08/24
藤原
17
令和初感想というちょっぴりのプレミア感出したかったので久しぶりに大好きな本を読み返した。山田風太郎に取り憑かれたのは多分これを読んでから。柳生十兵衛が完全無欠のヒーローとして自分の中に焼き付けられてしまった。十兵衛三部作にはそれぞれの面白さがあるけど、十兵衛のヒーロー性が飛び切りよく描かれているのは本作。うーん、やっぱり唸るほどかっこいい。2019/05/01
きょちょ
17
「会津七本槍」の首領、芦名銅伯が登場する。 彼は、強そうだし忍法も面白い。 でも十兵衛側が上手くいきすぎる。 何度か危うい場面があるんだが、もう一つハラハラドキドキ感がない。 銅伯も、会津藩並びに藩主を早く見限ってしまえば、もうちょっと違った展開になったろうに・・・。芦名一族の今後を考えすぎて、会津藩にこだわりすぎたのが大きな敗因。 ★★★2016/12/29