内容説明
四万十川の大自然の中、貧しくも温かな家族に見守られて育つ少年あつよし。その夏、彼は子猫の生命を救い、同級の女の子をいじめから守るためにたちあがった……みずみずしい抒情の中に人間の絆を問いかえした感動の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naoっぴ
70
中学課題図書。当時の娘には難しかったのか最初の数頁でやめてしまったようですが、名作でした。四万十の大自然の中、自然の恵みを糧に生活し遊ぶ子ども達の成長を描いた物語。子どもの素直な感情、瑞瑞しい感性、それを見守る家族の愛情がこんなにも崇高に感じられるとは。内省的な性格の篤義が初めて反抗する場面は、不条理な事柄に対し挑む篤義の強い意志が感じられ心が掴まれた。そしてその後の千代子を守る行動と彼なりの反省、家族の対応が素晴らしい。自分の意志をしっかりと持ち、流されず生きることを教えてもらった。2018/04/06
ぶんこ
43
想像力豊かで繊細な篤義君が、飼い猫キィが産んだ子猫の行く末を案じたり、同級生の千代子さんは虐められるのを、自分の事のように悩み、苦しむ日々。 静かな優しさに、気持ちがシ〜ンとしてきます。 家族、先生が素晴らしいのが救いです。 2014/11/12
はる
31
すごく良かった!まだ貧しい時代の日本の四万十川。ちょっとおとなしい少年あつよしの成長物語です。堕胎されそうになる子猫と、いじめられている少女を救おうとするあつよし。本当にいい子で感涙しました。暖かな周りの大人たちの視線と、豊かな自然の描写も素晴らしい。2013/12/03
kayak-gohan
19
「心の中の絵」ということでこの小説の引用を発達心理学の本で読んだのが読むきっかけ。みずみずしい自然描写とその中での子供の生活が活写されている。2007/08/10
ぴょこたん
17
はやりの作品ではないのだろう。だが、思春期に至らない男の子の心理を大人が読めるレベルまでの文章で描き出しているのには感服する。丁寧に描く作家だと感じた。ノスタルジーと自然の美しさを感じさせる世界において、小3の少年あつよしが、猫の間引き・いじめられる少女に対面する中での成長物語。2015/10/31