ビッグコミックス その女、ジルバ（１）

著者名：有間しのぶ【著】

小学館（2014/11発売）

• ISBN：9784091850249

内容説明

伝説のママ・ジルバの店　BAR　OLD　JACK　＆　ROSE―――
終戦直後から夜の世界で生きてきたホステスたちの高齢BAR。
ホステスの平均年齢は70歳以上。人生の酸いも甘いも知り尽くした女たちが最高のおもてなしで、常連客たちを迎える。
そこへ飛び込んだ一人の新人・笛吹　新（うすい・あらた）、40歳。
大手スーパーの倉庫で働く彼女は、
恋人なし、貯金なし、老後の安心なしの崖っぷち人生。
リストラで希望の職場も追われ、
夢も、仕事も、結婚も、あきらめかけた彼女が、
笑い、歌い、踊り、いつの日か忘れていた何かを取り戻していく。
昼と夜、二足のワラジで働くことになった、見習いホステス・“アララ”。
彼女のシングルライフに、どんな変化が訪れるのか！？

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ゆいまある]

手塚治虫文化賞受賞。百貨店の販売から倉庫に「姥捨て」された40歳独身、新。ふとしたきっかけからシニア専門のバーでホステスとして働き始める。新の故郷福島の復興、バーの元ママだったジルバのブラジル移民としての苦労など、物語が重層的に広がっていく。40は終わりじゃない、まだ色んなことがやれるという希望があるし、人が温かいいい話である。有間しのぶさん先生、モンパトのイメージで止まってた。これは凄い。じんわりする。

2021/03/28

[ネギっ子gen]

【強く推奨！】伝説のママ・ジルバの店「OLD JACK & ROSE」。平均年齢70歳（最長80）の高齢BAR。人生の酸いも甘いも知り尽くした女たちが、常連客を迎える。そこへ飛び込んだ一人の新人・笛吹 新(うすい・あらた)、40歳独身。大手スーパーの倉庫で働く彼女は、恋人なし、貯金なし、老後のあてもない不安から逃れたくて夜のバイトに。リストラで支社へ追い払われ、倉庫仕事の中で夢をなくしかけていたが、笑い、歌い、踊りながら、素敵な笑顔を取り戻す。ほんと、心に沁みる漫画。最終頁まで辿りつき、思わず落涙――。⇒

2022/04/04

[こばまり]

じんわりとお出汁の味わい。こりゃ良作だわい。季節は春。何やら勇気が湧いてきた。

2021/03/20

[kasim]

「何も持たないまま」40歳になったヒロインの再出発。あり得ないほどいい人ばかりだけど、すごく癒されるしこういうジャンルなんだからいいかと思っていたら、途中からそんな呑気な見通しを裏切るスケールに進んでいく。たった75年前の厳しい戦後の世界はまた明日戻ってくるかもしれない。それを生き抜いてきた人生の大先輩たちの強さや懐の深さ。特にブラジル移民の事情は知らなかった闇を見せてくれた。自分たちを捨てた祖国日本への強い憧れから敗戦をフェイクニュースとして狂気のテロに走る人々。これもまた今日の私たちの姿だ。

2022/08/30

[JACK]

☆ 笛吹新(うすい あらた)40歳独身。恋人に去られ、スーパーの売り場から倉庫係に転属となり、人生の残高がずっとマイナスの女。そんな彼女が見かけた店「OLD JACK & ROSE」の入り口には「ホステス募集40歳以上」の張り紙が。今までと全く違う何かをしないと自分の人生を嫌いになってしまう、と彼女はその熟女専門バーの扉を叩くのだった。店の初代ママのジルバはブラジル移民帰りの苦労人。戦後の混乱期にジルバが奮起するエピソードと、新が新しい人生をスタートさせる話が描かれ、心を揺さぶられます。素敵な物語です。

2018/12/24