内容説明
血の入ったバケツ、黒焦げの骨……「ウィステリア荘」でホームズは『グロテスクなものから恐怖へは、ほんの一歩なんだよ』と言う。その他、ホームズが瀕死の床に伏せる「瀕死の探偵」など7編を収録。表題作「最後の挨拶」は、ホームズの隠退からかなりたった第一次世界大戦直前の話で、60代になった二人がふたたびイギリス国家のために活躍する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
57
新装版にて再読、短編集としては第4弾になります。このシリーズも6作目、ホームズを初めて読む人の為に、あえてシリーズ創刊順番に逆らい、読むべき基本的な順番を書きたいと思います。何故なら初めて読む人が、本作から読み始めたりしますと、間違った印象を持って仕舞いかねないと感じるからです。先ず「緋色の研究」「四つの署名」、短編集の冒険そして回想、「バスカヴィル家の犬」それから帰還、「恐怖の谷」を経て本作へと流れるのが良いのではと思います。光文社の本作は冒頭にワトソンの前書きが、きちんと載せてあり嬉しいかぎりです。2015/11/14
KAZOO
45
やはり何回読んでも新鮮な感じがします。とくに今回の新訳は本当にわかりやすく書かれているので、若い人にシャーロッキアンになってもらうのには最適なのでしょう。私はただヴィクトリア朝の雰囲気を伝えるには、もう少し工夫をしてもらいたかったと感じています。いつもの繰り言です。2014/10/31
藤月はな(灯れ松明の火)
36
証拠がない、時効であるなどの理由で現在の法に裁かれることのないという事件に対する制裁が多かったです。私刑は良くないことだとされているけど、苦しんだ人もいたのに法で裁かれるはずの加害者がのうのうと大手を振って歩いているという状況に対して許せる人は果たしてどれくらい、いるだろうか?対して己の良心によって生み出された亡霊によって自滅した『ボール箱』(当時のヴィクトリア時代ではタブーとされていた不倫をテーマにしていたため、当初、収録予定だった『シャーロック・ホームズの最初の挨拶』からは削除された)が印象的でした。2015/05/28
aika
34
50ページほどの短編で、これほど魅惑的な推理小説を書けるドイル、すごすぎます。「赤い輪団」は、一見なんてことないような事件の裏に隠された大きな犯罪をホームズが鮮やかに暴いていく様子にワクワクしました。「瀕死の探偵」では、ワトソンと同じように、ホームズにまんまと騙されました!「最後の挨拶」は終わりに近づくにつれ、ホームズとの永遠のさようならを予期させるような印象が悲しいです。あとラスト1巻を残すのみ、楽しみでもあり寂しくもあります。2017/01/05
tengen
29
日暮雅通訳の光文社文庫新訳シリーズ8弾。 脳内はジェレミーブレットの姿、そして露口茂と長門裕之の声。 毒薬、毒ガス、手旗信号、二重底トリック、変装、古典的な小道具が楽しい。 ☆彡 まえがき/ウィステリア荘/ブルースパーティントン型設計書/悪魔の足/赤い輪団/レディフランシスカーファックスの失踪/瀕死の探偵/最後の挨拶2022/04/07