内容説明
ホームズ物語は、月刊誌『ストランド』に短編が掲載されはじめてから爆発的な人気を得た。ホームズが唯一意識した女性アイリーン・アドラーの登場する「ボヘミアの醜聞」をはじめ、赤毛の男に便宜を図る不思議な団体「赤毛組合」の話、アヘン窟から話が始まる「唇のねじれた男」、ダイイングメッセージもの「まだらの紐」など、最初の短編12編を収録。第1短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
55
古典ミステリフェア⑤。ポーの「モルグ街」が1840年代なのに対し、ホームズの活躍は1880年代後半で、40年近くも離れているのですね。その間に日本は江戸から明治になるわけで、世界史上のミステリの位置づけに興味がわいて来ました。さて、これまでの副読本にも書かれていたことですが、「ブラウン神父」のトリックに対して、ホームズはキャラクターの面白さというのは納得できました。とくに「青いガーネット」とかの飄々としたホームズと、「花婿の正体」の熱いホームズのギャップがいいです。2025/08/18
hiro
55
森見さんのホームズもの『シャーロック・ホームズの凱旋』を読み、もう一度原作を読みたくなった。小学生の頃にまず児童向けを読み、さらに高校生になって文庫本のホームズを読んでいるので、今回三度目のホームズは21世紀の読者向けという光文社文庫を読むことにした。この短編集の冒頭から森見さんの『凱旋』でも登場したあのアイリーン・アドラーが登場し、さらに「赤毛組合」「唇のねじれた男」「まだらの紐」にいたっては登場人物だけでなく内容もほぼ覚えていたことに自分でも驚くなど楽しく読めたので、ゆっくり第9巻まで読みたくなった。2024/11/17
k5
55
昨年から読んだミステリをランクづけしていて、100冊目なのでやはりこの作品。探偵が歩く作品が好きなのでベストは「青いガーネット」か。ホームズやワトソンの仕草がうまいなあ、とうなるとともに、仕草と二人の会話で物語にひきこむって、ある種落語みたい、とも思いました。ぼちぼち読んで全集制覇を目指します。2020/03/31
aika
47
かの有名なアイリーン・アドラーが登場する「ボヘミアの醜聞」、突飛な発想が印象的な「赤毛連盟」、小学生の時に初めて読んだ「まだらの紐」など、短編ながらも驚きの展開に、ワクワクしながらページをめくりました!その一方で、「オレンジの種五つ」ではKKKにまつわる人種差別が題材に盛り込まれるなど、ホームズやワトソンたちキャラクターのユニークな個性を通して、社会的なメッセージも込められているように思えて、深みのある作品群だなあと感じました。人間の愛憎や醜さ、哀しさみたいなものも見え隠れして、盛りだくさんの内容です。2016/11/21
しゃお
45
何度目かの再読。今回はグラナダ版のドラマで映像化されているものを観返しつつ読みました。そして原作もドラマ版も妻とウヒャウヒャ言いながら、そしてツッコミながら観て、そして読み返しました(笑)。今回はホームズが実に行動的であるなと改めて感じつつ、ツッコミどころすらも楽しい事もまた改めて感じました。ところで光文社文庫版で読むのは初めて。日暮さんの新訳でとても読みやすく、光文社文庫版も揃えたくなりました。2021/07/11