内容説明
廃藩置県により斗南藩の名は消えた。だが、藩首脳部の広沢安任は、最後まで斗南藩士として生きようと決意し、日本初の西洋牧場を拓く。皆が寒冷地を捨て去るなか、官を辞し、決然と野に下り、四十不惑からの挑戦だった――。故郷を奪われた会津藩士達を描き、勝者に歪められた事実を敗者から検証する。明治百年を経た今こそ必読の現代日本再生の示唆に富んだ歴史大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
東森久利斗
3
魂の叫び、斗南の魂は消えず。「北斗以南皆帝州」、最北の地もまた天皇の領地、朝敵でも賊軍でもない、ともに北斗七星を仰ぐ民。望郷への思い。武士の誇り、武家社会への拘り、国家への忠節、急激な社会変革。翻弄、困窮、離散、放浪、反抗、逃亡、再起、希望、挫折。海外留学、移民、贋金、牧場経営、学校創設、邏卒、書生、奉公、…。今日の日本の礎を築き今も生き続ける士魂、敗者の生きざまを近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な文献、史書、遺談を通してその実相に迫る。2024/01/23
連雀
3
極寒の地での艱難辛苦により、あれほどの結束を見せた旧会津の人々でも人心が荒んでしまうのが悲しい。記録に名前が残るのはそれでもまだマシな方で、より多くの言葉にもならない悲劇がそこにはあったのだろうと想像してしまいます。2018/09/10
半べえ (やればできる子)
0
★★★★2016/06/09
たつや
0
2025年302冊目。極寒の下北で広沢安任は日本初の西洋牧場を拓く。不屈の精神で、会津魂を見せた挑戦に感銘をうけた2025/12/20
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