内容説明
榎本武揚率いる旧幕軍艦隊は蝦夷地に上陸、土方歳三らの破竹の進撃で、箱館五稜郭に入城を果たす。榎本と元会津藩士らは新政府樹立を宣言するが、列強は局外中立を撤廃、明治政府軍も次々と集結して蝦夷共和国に迫り――。故郷を奪われた会津藩士達を描き、勝者に歪められた事実を敗者から検証する。明治百年を経た今こそ必読の現代日本再生の示唆に富んだ歴史大河小説。
感想・レビュー
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レアル
48
榎本率いる艦隊が蝦夷地に着いた。ここで蝦夷地を平定し、共和国を作ろうと試みる。また「甲鉄」を奪うために出航した3艦。奪うどころか座礁や失敗で莫大な被害をだしたその経緯と結果を詳細に描写されている。そんな蝦夷地に薩長達が押し寄せてきた。次回は函館戦争に突入かな。戦いといえば斬り合いがメインに繰り広げられていく描写が多い中、この物語は欧米公使達の動向といった周辺環境からもこの蝦夷地を描いている。この周りの視点からこの時代を読ませてくれるのもこの物語の特徴かも。2018/06/04
東森久利斗
2
迫力満点、史上初の艦隊による近代戦。稚拙な書生レベル、机上の空論、イデオロギーな理想だけを追い求め、構想、戦略、実現性や実行力に欠ける官僚主義的な発作的闘争の末路。相変わらずのリーダー不在。死に場所を求め見事に最期を飾った戦士。士道の終焉。敗者の生きざまを近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な文献、史書、遺談を通してその実相に迫る。2024/01/19
まきまき
1
会津若松が落城し、戦火は海を越えて蝦夷へ。榎本さんの奇跡的なまでの海運の悪さが憎い……現地の漁師さんやら廻船問屋の水主さんやらに助力を仰ぐような知恵はなかったのかな?甲鉄の奪取や津軽への進撃が実現していれば、本当に歴史は変わっただろうにね。 筆者は土方や中島三之助といった戦死者の士魂を称揚するあまり、榎本や大鳥ら、後に新政府に仕官した者を柔弱な卑劣者扱いし、唾棄すべき保身として筆を極めて罵っているけど、それは言い過ぎだと思う。誰も、いつの時代も、それぞれの立場でそれぞれのベストを尽くしたのだと思いたい。2018/02/07
半べえ (やればできる子)
0
★★★2016/02/06