内容説明
会津改め斗南藩としての北地転封は、挙藩流罪に等しいものだった。少ない石高により、荒涼の大地で困窮の生活をおくる人々の支えは幼少の主君容大と旧藩主容保の存在。だが、廃藩置県の非情の命が、藩士と主君を引き裂く――。故郷を奪われた会津藩士達を描き、勝者に歪められた事実を敗者から検証する。明治百年を経た今こそ必読の現代日本再生の示唆に富んだ歴史大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
東森久利斗
2
魂の叫び、斗南の魂は消えず。「北斗以南皆帝州」、最北の地もまた天皇の領地、朝敵でも賊軍でもない、ともに北斗七星を仰ぐ民。望郷への思い。武士の誇り、武家社会への拘り、国家への忠節、急激な社会変革。翻弄、困窮、離散、放浪、反抗、逃亡、再起、希望、挫折。海外留学、移民、贋金、牧場経営、学校創設、邏卒、書生、奉公、…。今日の日本の礎を築き今も生き続ける士魂、敗者の生きざまを近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な文献、史書、遺談を通してその実相に迫る。2024/01/22
連雀
1
久々に鮎川兵馬の出番がたっぷりあって、歴史”小説”を読んでいる気分になれました。戦争があるとどうしても編成や戦いの大局の推移の記述が多くなり、人物の描写が減ってしまいますからね。会津から下北半島への移住と言うのは簡単ですが、それが想像を絶する苦難の下に行われた事など、初めて知る事ばかりです。2018/08/08
半べえ (やればできる子)
0
★★★★2016/05/02