内容説明
坂本龍馬の暗躍で薩長同盟が成り、討幕派の策謀が朝廷内で渦巻く中で徳川慶喜が将軍となり、その直後、松平容保の最大の理解者孝明帝が崩御する。やがて将軍慶喜の大政奉還、龍馬暗殺などを経て、岩倉具視と薩長による旧幕府勢力潰しのシナリオ通りに戊辰の内乱が起こされ、若き会津藩士鮎川兵馬も藩とともにその戦いへと引きずりこまれていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
東森久利斗
3
刀から大砲、火縄銃から後装式、大量破壊兵器の登場、兵器の優劣、新旧、量が勝敗を決する近代戦の幕開け、武家社会の終焉。餓狼な過激志士と貧乏公卿による、偽尊王と尻軽攘夷の御旗のもと弱者を犠牲、国民不在・民意無視で強行された、イデオロギーなき火事場泥棒的クーデター。勝てば官軍、都合よく書き換えられ封印された史実。敗者の生きざまを通して、近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な文献、史書を通してその実相に迫る。2024/01/10
てっしー
3
会津愛とそれを何倍も上回る薩長土への怨念に充ち満ちた、幕末通史ものの第三巻。鳥羽伏見の戦い自体の説明はやや説明的・網羅的。もう少しエピソードを切り取って拡大してくれても、と。この巻の読みどころは、容保に上申する神保修理の苦衷の場面。お上に素直に従っていくことが悲劇を産んでいく様は、現代にも通じるものがあると感じました。この巻でも、平板な創作キャラが相変わらず流れを阻害している印象を受けました。2013/04/02
しんのすけ
2
やっと鳥羽伏見の戦いまですすんだ。人物についても地名についても細かく描写され、古い文献からも多くの出来事を紹介されている。正直、なかなか読み進むのが難しく理解も今ひとつ進まないが、会津藩の実直で生真面目過ぎる性格は理解出来る。解説にもあるように、歴史は見る立場によって解釈が異なるし、薩長側からばかりの書物の中で、会津側から見た歴史を掘り下げて示してくれるこの本のシリーズは貴重な存在だと思う。2025/12/24
連雀
1
早乙女貢は三国志モノを一作読んだだけでしたので、ここで描かれている激しい会津への思慕の念と、そんな会津を目の敵にした薩長への激しい憎しみが、私の予想を遥かに上回る次元でいっそ清々しいです。長州的なロマンティシズムで彩られた司馬遼太郎作品とはまったく違った視点で本当に面白い!司馬作品では会津・桑名の藩士はモブもいいところですからね。まだまだ先がたっぷりあるので楽しみでならないです。2017/11/06
ふとし
1
かの坂本龍馬も、「お調子者の策謀家」と切り捨てられる。正義は会津にあり。ただし正義が勝つのではなく、勝ったのもが正義、という政治の構図は今も昔も同じ。大政奉還がなされ、話はいよいよ鳥羽伏見の戦いへ。薩長の陰謀にまんまとはめられ会津は泥沼にはまり行く。2012/12/26
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