内容説明
三国峠の戦いで勝利した西軍は越後路へ雪崩れ込み、会津藩の飛地小千谷を占領した。越後口の要衝である長岡藩の家老河井継之助は、藩の命運を賭けて、懸命に西軍の軍監岩村精一郎らに会見を申し入れる。しかし、錦旗を振りかざす岩村は、これをにべも無く一蹴。河井は、ついに西賊撃攘を叫び、長岡藩兵を率いて行動を起こす。
感想・レビュー
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レアル
53
越後に侵攻してきている西軍。長岡藩総督の河井継之助は奥羽越同盟に加盟しながらも、東西どちらに付くか決めかねて中立を保っている理由を「戦いに不向きな長岡城で~♪」と始まる著者の検証が興味深い。武器は比較的最新でも源平合戦を思わせる防具と兵力の差で勝敗はあっという間に。それにしても継之助の戦略は素晴らしい。継之助の物語といえば以前司馬氏の『峠』を読んだ事もある。私自身司馬氏の作品が大好きでよく読むが、戦いに特化すればこちらの方が緻密に描かれいるように思われる。お陰で流れがよく分かった。次巻へ。2018/04/25
うらなり
12
河合継之助と相対した官軍の軍監は土佐の岩村精一郎23歳であり、のちに山県有朋も人選を誤ったとかたっている。なぜ官軍側も伊達藩や長岡藩との交渉役に世良修蔵や岩村などの若造に任せてしまったのかと思う。そのために無駄な戦になり多くの有意の人材を失い民を苦しめた責は大きい。三春藩は板垣退助が対峙し、無血入城を果たしている。若造では継之助の高邁な思想や決意を信じがたく、降参とみせかけて挟み撃ちにされるのを恐れて話し合いが決裂するのも当然か。2020/09/24
東森久利斗
2
リーダー不在、智将なき、策なし、後手後手、準備不足、烏合の衆、連携不足、不信感、叛意、負けて当然、必然的な悲劇。尾張、紀州、彦根の裏切りには、開いた口が塞がらない。士魂 vs 私情私欲、侍 vs 兵士、職人 vs 素人、専門技術 vs 簡易装備、相反の戦い、戦争のトランスフォーメーション。敗者の生きざま、言い訳を通して、近代日本が如何なる犠牲のうえに成立し、負債として現代に受け継がれているか。膨大な文献、史書を通してその実相に迫る。2024/01/17
連雀
2
白河口方面の戦いから目を転じて、河井継之助で有名な越後口方面の戦いがこの巻からは詳述されています。特に断りなく時間が巻き戻るので、時系列を確認しながら読み進めないとちょっと混乱します。それにしても連戦に次ぐ連戦、激戦に次ぐ激戦で、読んでるこちらも疲れてしまいましすね。2018/03/10
Takao Umetsu
0
三国峠の戦いで勝利した西軍は、小千谷、長岡を奪取。長岡藩河井継之助踏ん張る。2016/07/17