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内容説明
『中論』において「あらゆる存在は空である」と説き、論理全体を究極的に否定して根源に潜む神秘主義を肯定したナーガールジュナ(龍樹)。インド大乗仏教思想の源泉のひとつ、中観派の思想の核心を読み解く。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
第1部 瞑想と哲学(空の思想 ナーガールジュナの思想 中期中観派 後期中観派―瑜伽行中観派)
第2部 中観思想の立場―対談(梶山雄一 上山春平)
第3部 中道の哲学(無記と四諦 無記と六十二見 『中論』と課題 縁起と空観 八不 中道 空観と批判)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeapple
13
空という考え方が仏教理解には重要であると思い読んだ。難しいけれど、大乗仏教と上座部仏教で空というか物事をどう捉えるるのかその違いについて考えることができたかな。上座部仏教もシャカそのものではないようだね。さらに般若経を読んでいこう。2019/05/04
グスタフ
10
竜樹の空が、慈悲への道を開くものであるといった教科書的説明が、自分にはよく理解できていなかったところがある。しかし、それはソクラテスの無知の再構築であり、カントの理性批判に通づる道と同じ経緯をたどっているとの説明を読み目から鱗とまではいかないが、納得するところはあった。このシリーズ、後半の西欧哲学畑の先生の解説は、自分などにはとても分かりやすくためになっている。2015/05/24
まえぞう
9
唯識とともに仏教思想の根幹となる空についての考察ですが、アビタルマほどではないにしろ、難しいです。空という概念を、龍樹は、その頃行われていた他の学派の考え方の否定として説明していくので、「それでどうなの?」という疑問が残ります。今の世の中でも、極端に走らない中庸を説くのが難しいのと似た感じがしました。2018/12/14
roughfractus02
8
龍樹は、説一切有部の「全てがある」という主張に、仏陀が批判したヴェーダ哲学の神の創造概念の仏教への侵入を見る。対して『中論』は、空(一切はない)と縁起(物事はそれ自身で存在しない)を組み合わせ、相矛盾する両者を共に否定するディレンマや、ものは「決して自身から、他のものから、自他の双方から、また原因なくして生じたものではない」と否定を畳み掛けるテトラレンマ(四句否定)の異様な論理を展開する。すると神の創造宇宙を表していた存在の論理は論理の外に連れ出される。空の思想は、仏陀の「無記」の態度を論理において貫く。2021/04/26
mass34
6
難しい。全く歯がたたなかったので、そっとしておく。でも「空」がなんなのかは、分かったということもなく、分かってないということもない感じ。2023/11/12