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内容説明
親鸞思想の核心とは何か? 『歎異抄』と「悪人正機説」にのみ依拠する親鸞像を排し、主著『教行信証』を軸に、親鸞が挫折と絶望の九〇年の生涯で創造した「生の浄土教」、そして「歓喜の信仰」を捉えなおす。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
第1部 親鸞の思想(親鸞の生涯 親鸞の著作 親鸞の思想)
第2部 法然と親鸞(増谷文雄 梅原猛)
第3部 親鸞と『教行信証』(愚禿親鸞の人生 『教行信証』の思想)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
20
ぞくぞくする読書だった。梅原さんの文章は”謎解きサスペンス”仕立てのエンタメになっていて、しぜんと引っぱられていく。『教行信証』、親鸞さんの難解な代表作に、梅原さんがズバズバと手厳しいツッコミをいれていくとこがこの本の読みドコロだ。曰く…てんで論理的ではない、わかりにくい文章、もたもたしている、漢文の読み方が正しくない、証明が不十分、苦しまぎれのコジツケなどなど。でも、そんなかさぶたみたいな言葉のザラツキに、親鸞さんの苦悩と実存の痕跡を見出して、梅原さんは「そこが真価」だと評価する。その点、おおいに賛同。2016/07/10
roughfractus02
7
著者達は『歎異抄』でなく『教行信証』から浄土真宗の特質を概説する。本書は、親鸞が生きた末法の世、鎌倉仏教での親鸞の特異な位置を、中国浄土教の高僧善導、親鸞の師法然、親鸞の思想の歴史的比較や、親鸞自身の苦難の生(離散、出家、流罪、還俗、息子の裏切り)に照らしつつ、なぜ従来の教・行・証の三法に「信」が加えられたのか、という点を中心に読み進む。すると、三法のトップダウン体制だった仏教が、「信」の導入でボトムアップから再編成され、末法の世の絶望から希求される死後の浄土が、今を生きる歓喜へと変容する様が見えてくる。2021/05/03
kichy
5
梅原は親鸞を浄土教を死の浄土教から生の仏教にしたといい、阿弥陀如来を死者ではなく生者のものに変えたと主張する。当時の親鸞が置かれた環境や経験、深い自己洞察がなければ経典の読解方法の転換や浄土の大胆な意味付けはなされなかっただろう。梅原の筆致は、学問的裏付けと瑞々しい感性に裏打ちされ、非常に好感が持てる。煩悩は如何なることでも断ちがたく親鸞は絶望するが、その境地に身を置いたからこそ阿弥陀の救済が立ち現れ意味を持つ。絶望のないものに歓喜はない。タイトルのつけ方も秀逸。2024/02/12
聲
3
親鸞という「人物」について掘り下げて語った本だった。親鸞自身が最も浄土思想を必要としていた人物だ。『歎異抄』にもある「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、 ひとえに親鸞一人がためなりけり」という言葉。親鸞はその思想と同じくらい、それを生んだリアルな人物像に魅力がある。自分も浄土思想が好きなのか、親鸞の浄土思想が好きなのかわからないような。もちろん同じものなんだけど。ただ、この本はあまり初心者向けではないので、少しは仏教、浄土思想について学ぶことをお勧めします。2022/10/23
masanari
2
面白かった。原文の引用以外文章も読みやすくとっつきにくいタイトルの割に一気に読んでしまった。生涯に謎の多い親鸞の姿を2人の著者が時に研究書を読み込み、時に豊かな想像力をもとに描き出す。その作者の想像をやりすぎだと批判するアカデミックな人もいるだろうが、大学の研究論文じゃないのだし、僕はこのくらい文章が活きいきとしていてもいいと思う。あくまで親鸞本人の著作や書簡を一次資料として扱う本書は歎異抄を読んで親鸞に興味を持った人にもおすすめの一冊だ。2019/12/09
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