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内容説明
インドに生まれ、中国を経て日本に渡ってきた仏教。多様な思想を蔵する仏教の核心を、源流ブッダに立ち返って解明。知恵と慈悲の思想が持つ現代的意義を、ギリシア哲学とキリスト教思想との対比を通じて探る。
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
目次
第1部 知恵と慈悲の源流(ブッダとの出会い ブッダの時代 ブッダの思想の体系 ブッダの実践の体系)
第2部 ブッダにおける存在論と人間論
第3部 仏教の現代的意義(現代と仏教 生死の問題 慈悲とは何か 業について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
再読。初めて原始仏教を習った時、宗教というより哲学だな。と感じた事を思い出す。内容は原始仏教の基本を押さえる第一章、仏教学者と哲学者による対談の第二章。仏教の今日的意義を考える第三章という構成から成っている。第一章は仏陀在世当時の社会情勢から四諦八正道、縁起といった教えまで手堅くまとめられており学びやすい。ただ第三章は発行から五十年以上経過した現在、やや古さを感じる。哲学者としての立場からすると当然かもしれないが、仏教自体よりキリスト教や哲学に触れてる部分が多いし。ただ基礎を固めるには最適だと思います。2023/01/05
Vakira
28
新約聖書を読んだので今度はブッダを理解しようと思い立ち読み。後半にドスエフ、カラマーゾフのフヨードルとアリョーシャ、イワンの対話が掲載されているのを発見、これはもしやカラマの解となるかと・・・Goodタイミングで即購入。カラマの1巻が読み終わったので読んでみた。原始仏教は現在とかなり異なる。ブッダは神ではなく思想家だ。イエスと同様に異端の革命児。イエスはユダヤ教からキリスト教を説いたが、ブッダはバラモン教から悟りを開き新たな思想を伝え回る。この本の面白い処は、ブッダだけではなく当時の哲学者ソクラテスやのち2015/10/07
takeapple
19
所謂初期仏教についての概説書。仏教学者である増谷文雄と哲学者梅原猛が執筆している。増谷著の部分はわかりやすいが、梅原執筆の第3部のソクラテスとキリストのところは退屈だった。これはギリシャ哲学やキリスト教の基礎知識が私に不足しているからだろう。同じ梅原執筆部分でも十二因縁のところは面白く感じた。元本は1968年刊行だからもはや古典の部類に入るのだろうが、体系的に仏教を独学するにはこのシリーズからかと思う。2018/12/21
Tai
17
生きることが人間の最も基本的な願いであるが諸行無常のこの世において、結局はそれらは尽く裏切られざるを得ない。「人間の悲しい重荷」仏教者は悲しみをよく知る。慈と悲で慈悲。苦しみを無くすには「渇愛を滅する」過ぎたる欲望を否定し中道を正とする。 イエス、ソクラテス、ブッダが生きた時代を第一枢軸時代とし、現代を第二とするも精神的支柱がまだない。神の存在と魂の不死にニーチェとドストエフスキーは問いを投げかけている。不死が文明を育んだがこれからは?死後は無に帰すと説くブッダ。衆生への憐み。梅原氏の仏教への期待が熱い。2020/06/21
no.ma
14
仏教を思想としてちゃんと学びたいと思っていたところ、おあつらえ向きの入門書を見つけました。初期仏教から日蓮に至るまでの全12冊のシリーズ。刊行から50年以上経過していて多少の古さも感じますが、最初の一冊目には手ごたえがありました。読み通すことができれば、いろんな水流を合わせて滔々たる流れになった日本の仏教について、きっと自分なりの考えが持てると思います。仏教は特に死に対する洞察が深い。そこが一神教とは決定的に違う。学ぶべきことは多く先は長いのですが、宗派にとらわれず思想として仏教をとらえようと思います。2020/11/01