内容説明
長い遍歴をともに重ねてきた城太郎は、木曽路でぷっつり消息を絶ち、武蔵は、下総の法典ケ原で未墾の荒野に挑む。恃むべき剣を捨て、鍬を持った武蔵。これこそ一乗寺以後の武蔵の変身である。相手は不毛の大地であり、無情の風雨であり、自然の暴威であった。--その頃、小次郎は江戸に在って小幡一門と血と血で争い、武蔵の“美しい落し物”も、江戸の巷に身を寄せていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
75
武蔵の人間性が一回り大きくなり、持つべきものが剣から鍬へと変化します。不毛の大地と自然の暴威に立ち向かう姿は、剣にのめり込んでいたときより人間らしい姿に見えました。一方で血と血の争いをする小次郎。それぞれの形で密やかに江戸に身をひそめているのではないでしょうか。2019/01/09
ともくん
68
たとえ、罵られ、馬鹿にされて笑われようと、自分の信じた道をただ、ひたすらに突き進む武蔵。 どこにいても、何をしていても剣の修行になる。 自然という師、伊織という新たな弟子を持って、武蔵が生き生きしているように感じる。 吉川英治の描きたかった武蔵ではないだろうか、という気がしてくる。2019/01/19
k5
58
電子合本版で二天の巻まで読了。おそらく文庫は七巻の終わり近くだと思うので、そちらに感想を書きます。2021/01/16
としちゃん
50
シリーズ第6巻。勝った負けたも意味がない。10人に勝てば100人の敵が増え100人に勝てば千人の敵がかかってくる。勝ち負けを超えたところに道はある。あれになろう、これになろうと焦らずに、何事にも動じない自分を持つということが大事。世間に媚びず、評判も気にしない。そうなった時、自分の値打ちというものは自然に世の人が決めてくれる。2017/12/29
Kiyoshi Utsugi
41
下総の法典ヶ原(現在の中山競馬場の近くらしい)で、鍬を持つ生活を選んだ宮本武蔵は、この地で三沢伊織(後に武蔵の養子となる人物)に出会い、弟子にすることになる。 六巻では、宮本武蔵よりも、小幡一門と争うことになる佐々木小次郎にスポットライトがあてられた感じ。 これも巌流島での決闘の伏線になるんだろうなと思いながら読んでました。 また、ここで当時小倉藩主であった細川忠利も登場。だからというわけではないのですが、熊本市内にある細川家の墓所に行ってみました。 いつになったらお通さん、城太郎に再開出来るんだろう。2022/09/27