内容説明
家事万能のロボットを手に入れたら……。世界平和をめざす秘密組織が実権を握ったら……。安逸と平穏をのぞみながら、退屈な日々にあきたらず、精神と肉体の新たな冒険を求める人間。超現代のなかでも、あいかわらず滑稽で愛すべき、人間らしい心の動きをスマートに描く11編。新鮮な発想、奇想天外なストーリーの展開、そして意外な結末は、あたかもアイディアを凝集した玉手箱。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
160
初期の頃の星さんの作品集であると思います。11のショートショートがおさめられていてどれも甲乙付けがたい気がします。なんか昔のほうが、気力が入っているようなあるいは鋭さがある感じで、最近のほうが老成した感じの作品になっているようです。やはり面白さは変わりませんが。2016/06/13
W-G
152
本屋の新潮文庫の棚で、夏の百冊の宣伝を見ていて、視界の隅に懐かしい黄緑色の背表紙たちが…。という訳で無性に読みたくなった星さん。とりあえず短めのを、と思ってコレを購入。本は薄いが、個々の作品は星さんにしては長め。200ページで11編。独特の会話のテンポや、星さん鉄板のロボットや宇宙人ものが満遍なく楽しめる。フェイバリットは『ひとつの目標』と『空の死神』か。10代の頃と今では、面白いと思う作品の傾向が変化している事にも気づく。自分の変化と共に表情を変えるショートショートって、やっぱり天才だったなコノ人。2016/07/04
MICK KICHI
100
<マンスリー・星新一>「おのぞみの結末」傑作は◎ ひとつの目標◎ あの男この病気◎ 現実◎◎ 親しげな悪魔◎◎◎ わが子のために◎◎◎ おのぞみの結末◎ 半分位傑作の秀逸な短編集でした。あまりに面白い◎◎◎が特に大声で叫びたいくらいでした(笑)星さん得意の悪魔もの「親し気な...」のブラックさ、悪魔だから...。今のところ悪魔物のトップ。親子涙ぐましい愛情の話なのに筒井康隆調のドタバタが堪らない「わが子の...」アイロニーたっぷりでニヤニヤする時間を堪能しました。2019/03/22
Tetchy
97
特にコレというのは覚えてないんだけど、読んで損はしないということだけは覚えている。2008/08/30
セウテス
67
星新一氏のショートショートでは、少し長めの作品11点です。なんだか奇妙な設定の中で物語は始まり、いったいドウナルノカと考えながら読むものの、最期にはしっかりとオチがある。思わず鼻の奥で、んーと唸ってしまう。意外と愛嬌を感じるストーリーですが、込められているメッセージの多さには、驚きと供に感心して仕舞います。平和的手段を用いて平和な世界を実現したのに、という「ひとつの目標」と、圧倒的な武力によって征服されたのに、という「要求」。二つの平和の対比には、声を無くしてしまう。かわらずの意外な結末に圧倒されます。2015/04/08