内容説明
和歌、物語、随筆、謡曲など古典の世界に花の姿をたずね、茶花に焦点を当てた茶の湯の楽しみ方を探ってゆきます。
目次
1 昔も今も主役の花(梅;牡丹 ほか)
2 王朝の雅を求めて(松;藤 ほか)
3 花の名をたずねて(杜鵑草;忘れ草(甘草) ほか)
4 古の景を想う(柳;菜の花 ほか)
5 物語の世界へ(水仙;武蔵鐙 ほか)
著者等紹介
森川宗春[モリカワソウシュン]
茶道家。1941年、京都生まれ。今日庵文庫勤務を経て、現在、裏千家名誉師範として茶道の指導に当たる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめぴょん
17
朝だけ咲く朝顔、露草、「美草を見て憂さを忘るる意にや(和訓栞)」と恋の苦しさを忘れる思いをみる忘れ草(甘草)、利休忌に供えられる菜の花など俳句、短歌、古典の中に取り上げられる文章とともに茶花をたくさん紹介している本。詩的な情景や心象を花に託す。茶人は庭に花を植えている人が多いようです。私はお茶の心得はありませんが、茶花を庭に植えています。古来より日本にあった花が茶花に使われることが多いようです。花は古人の心にも何か働きかけてきたことが分かります。2023/10/26
本の紙魚
3
コロナ禍の緊急事態宣言がきっかけで、家の周りの公園や川沿いを散歩する習慣ができた。好きなことを掘り下げたいと古典も読み出した。身近にあって見落としていた可憐な花、知らなかった和花の名前。万葉集の驚くほど多彩な草花の名と恋の詩。人との出会いが減った分、本や植物との出会いが増えた。そうして年月が経って、マスクはまだ取らない人ばかりだけど街の喧騒は戻っている。ツツジや芍薬、コデマリの小道を通り抜け、人で溢れた電車に乗りながら本書を読んだ。菖蒲のついたて、竹に入れた浦島草。初夏の野に茶花を探しに行きたくなる一冊。2023/04/14