ちくま新書<br> 世界政治2 ――紛争・戦争・政治的暴力

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ちくま新書
世界政治2 ――紛争・戦争・政治的暴力

  • ISBN:9784480077455

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内容説明

ウクライナ・中東から各地の紛争まで――
現在の戦争の背景がわかる!

世界を揺るがしている中東の戦争は、国家対国家という単純な構造のみならず、国家と非国家主体が絡み合い複数の戦線が同時並行的に動く、多層化した紛争となっている。『世界政治』第2巻では、こうした国家の多様なあり方が現在の戦争・紛争において深く関わっていることを分析しつつ、世界各国の個別の事情を解説。底流にあるテクノロジー問題や資源問題なども総合的に考察し、政治的暴力が生み出されるメカニズムを探る。現在の戦争の背景を根底から理解するための必読書。

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【目次】
序章 国家による暴力をどうみるか(岩崎正洋)

第1章 中東の紛争メカニズム――戦争・内戦・非国家主体(末近浩太)
1 中東の紛争の特徴を捉える
2 中東の紛争はなぜ起こるのか――紛争研究の知見から
3 中東の紛争はなぜ終わらないのか――二〇二三年ガザ紛争から考える

第2章 ウクライナにおける戦争と国家再建――強制力と資本(松嵜英也)
1 戦争と国家建設
2 一党優位体制の成立と強制力
3 ウクライナ軍と強制力
4 戦時下の資金調達
5 戦争とグローバルな国家建設

第3章 デジタルで変わる戦争と暴力(大澤傑)
1 不可分な関係
2 デジタル技術による政治の変化
3 デジタル技術と戦争
4 デジタル技術は戦争と暴力の何を変えたか

第4章 イラク戦争と国家建設の蹉跌(山尾大)
1 「破綻国家」問題と外部介入のジレンマ
2 国家機構の解体とリベラルで民主的な国家建設の試み
3 換骨奪胎された民主主義
4 機能しない国家機構
5 構造的要因と教訓

第5章 イスラエル・パレスチナ紛争(錦田愛子)
1 世界政治の中でのイスラエル・パレスチナ紛争
2 パレスチナ国家承認をめぐる展開
3 闘争と社会福祉を担う非国家主体
4 行き詰まる中東の民主主義

第6章 資源開発と社会紛争(岡田勇)
1 天然資源のグローバル・コモディティ・チェーンと社会紛争
2 資源開発はいかに紛争と結びついてきたか
3 資源開発の社会的受容性
4 資源紛争の強度を下げる

第7章 シリアは未知の領域を進む(髙岡豊)
1 未曽有の実験のただなかにある外交・治安・安全保障政策
2 先の見えない内政状況
3 シリアの事例が問うこと

第8章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける平和の設計(田中聡)
1 分断社会の比較政治学
2 権力分有による紛争解決の試み――比較政治学の理論から実践へ
3 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争とデイトン合意――平和はどう設計されたか
4 デイトン合意後のボスニア社会――紛争は設計通りに解決されたのか

第9章 アフリカ・サヘル地域の複雑化した紛争――マリ共和国を中心に(佐藤章)
1 実効支配からみる紛争
2 マリ北部紛争の展開
3 実効支配回復への苦難
4 継続する紛争

第10章 インドネシアにおける分離独立紛争(増原綾子)
1 インドネシアにおける国家の暴力
2 東ティモールの併合と分離独立
3 アチェにおける分離独立紛争と和平
4 パプアにおける出口の見えない紛争
5 東ティモール・アチェ・パプアにおける紛争解決の比較
6 不処罰の「文化」と終わらない暴力

コラム1 南コーカサスの治安機関と政治的暴力(立花優)
コラム2 革命・クーデタと民族問題(宮脇昇)
コラム3 日食と暴力(菊田恭輔)
コラム4 ラテンアメリカの麻薬と組織犯罪(馬場香織)
コラム5 カンボジア人民党の生存戦略と政治的暴力(山田裕史)
コラム6 忘れられるミャンマー内戦(中西嘉宏)
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目次

序章 国家による暴力をどうみるか 岩崎正洋/世界政治と国家/国家と政治的暴力/目の前にある国家による暴力行使/「世界政治」シリーズ各巻の関係/本巻の構成/第1章 中東の紛争メカニズム──戦争・内戦・非国家主体 末近浩太/1 中東の紛争の特徴を捉える/UCDPから見る中東の「武力紛争」/増加する「国際化された内戦」/「文化」に逃げない紛争理解/2 中東の紛争はなぜ起こるのか──紛争研究の知見から/戦争はなぜ起こるのか/内戦はなぜ起こるのか/中東の内戦は何が違うのか/3 中東の紛争はなぜ終わらないのか──二〇二三年ガザ戦争から考える/「突然の戦争」という錯覚/「国際化」と「拒否権プレイヤー」の増殖/「弱い国家」と非国家主体/「勝者なき紛争」の定常化/第2章 ウクライナにおける戦争と国家再建──強制力と資本 松嵜英也/1 戦争と国家建設/2 一党優位体制の成立と強制力/ゼレンスキー以前のウクライナ内政/多党制から一党優位体制へ/強制力/3 ウクライナ軍と強制力/安全保障認識と軍改革/政軍関係/準軍事組織/4 戦時下の資金調達/ウクライナ国内における資金調達/ウクライナ外交と国際社会/5 戦争とグローバルな国家建設/第3章 デジタル技術で変わる戦争と暴力 大澤 傑/1 不可分な関係/技術革新と政治・暴力/軍事技術と戦争の変遷/2 デジタル技術による政治の変化/民主主義の後退/権威主義の強化/バーチャルな統治もバーチャル/3 デジタル技術と戦争/戦い方の変化/影響工作/4 デジタル技術は戦争と暴力の何を変えたか/主権国家体制への信頼低下?/デジタル技術がもたらしたもの/第4章 イラク戦争と国家建設の蹉跌 山尾 大/1 「破綻国家」問題と外部介入のジレンマ/2 国家機構の解体とリベラルで民主的な国家建設の試み/巨大な国家機構とその解体/亡命エリートによる親米国家建設の蹉跌/3 換骨奪胎された民主主義/急ぎすぎた民主化/「多数派形成ゲーム」/「ボイコットのポリティクス」と権威主義化する中央政府/4 機能しない国家機構/機能しない治安機関と軍/機能しない官僚機構/5 構造的要因と教訓/第5章 イスラエル・パレスチナ紛争 錦田愛子/1 世界政治の中でのイスラエル・パレスチナ紛争/2 パレスチナ国家承認をめぐる展開/国家承認をめぐる動きとその意義/3 闘争と社会福祉を担う非国家主体/政治主体としての相互承認の不在/4 行き詰まる中東の民主主義/三権分立を揺るがす司法改革法案/パレスチナ政治の分断/第6章 資源開発と社会紛争 岡田 勇/1 天然資源のグローバル・コモディティ・チェーンと社会紛争/人類史における資源と紛争/石油から重要鉱物へ/社会紛争に着目する/2 資源開発はいかに紛争と結びついてきたか/内戦における欲望と不満/社会紛争におけるメカニズム/3 資源開発の社会的受容性/社会的受容性とは何か/社会的受容性を高める要因/企業や政府に対する信頼/4 資源紛争の強度を下げる/帰納的なアプローチの重要性/立地選定というもう一つの議論/第7章 シリアは未知の領域を進む 高岡 豊/1 未曽有の実験のただなかにある外交・治安・安全保障政策/「イスラーム過激派の馴致/家畜化」/諸外国による管理/「国家による武力の独占」とシリア社会の分断/2 先の見えない内政状況/暫定人民議会選出のための間接選挙の行方/実効的な「少数派保護」と「包摂性」確保の方途/3 シリアの事例が問うこと/第8章 ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける平和の設計 田中 聡/1 分断社会の比較政治学/2 権力分有による紛争解決の試み──比較政治学の理論から実践へ/分断社会で民主主義は機能しうるか/権力分有論の展開/3 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争とデイトン合意──平和はどう設計されたか/ボスニア紛争の略史/デイトン和平合意の基本設計/4 デイトン合意後のボスニア社会──紛争は設計通りに解決されたのか/民族間の分断と政治的停滞/未完の国家建設/第9章 アフリカ・サヘル地域の複雑化した紛争──マリ共和国を中心に 佐藤 章/1 実効支配からみる紛争/実効支配とは/理論的アプローチと地域理解/2 マリ北部紛争の展開/ポスト植民地国家マリ/辺境のトゥアレグ人/「アザワド共和国」の建国宣言/3 実効支配回復への苦難/大規模な国際的支援/強硬路線への傾斜/軍事政権の成立/4 継続する紛争/ロシアへの接近/紛争の根源にある国家のあり方/第10章 インドネシアにおける分離独立紛争 増原綾子/1 インドネシアにおける国家の暴力/2 東ティモールの併合と分離独立/インドネシアによる併合と暴力/インドネシア民主化と東ティモール独立/3 アチェにおける分離独立紛争と和平/アチェ紛争/地震・津波と和平/4 パプアにおける出口の見えない紛争/「住民投票」の結果に基づくインドネシア編入/特別自治と継続する暴力/5 東ティモール・アチェ・パプアにおける紛争解決の比較/国際社会の介入の有無/紛争に対する大統領のスタンスと政軍関係/6 不処罰の「文化」と終わらない暴力/コラム1 南コーカサスの治安機関と政治的暴力 立花優/コラム2 革命・クーデターと民族問題 宮 昇/コラム3 日食と暴力 菊田恭輔/コラム4 ラテンアメリカの麻薬と組織犯罪 馬場香織/コラム5 カンボジア人民党の生存戦略と政治的暴力 山田裕史/コラム6 忘れられるミャンマー内戦 中西嘉宏/あとがき 岩崎正洋/編・執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

56
2は紛争がテーマ。さらっと基本理論を押さえたあとケーススタディが語られるが、本格的な紛争が終わって、メディアの報道がほとんどなくなったシリア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、東ティモール等の現状を知ることができたのが大きな収穫。また、イラクについてはアメリカは第2次世界大戦後の日本のような民主化を目指したなどと言われるが、全く条件が異なっていることが分かる。日本の場合は官僚など政治機構は残されていたが、イラクでは宗派対立もありそれがほぼ破壊されたのだから、上手くいくわけがない。権威主義との関連も興味深かった。2026/07/10

よっち

23
国家の多様なあり方が現在の戦争・紛争において深く関わっていることを分析しつつ、政治的暴力が生み出されるメカニズムを探る第2弾。中東の多層化する戦争、ウクライナ、シリア・アフリカ・東南アジアの事例など、国家の多様なあり方が暴力の鍵を握る視点から、国家・非国家主体・外部勢力が複雑に絡み合う現代の紛争構造を解説。デジタル技術が戦争を変え、政治的不安定・経済格差・統治の脆弱性と結びついた時に暴力が爆発するメカニズムがあって、イラク統治失敗を第二次世界大戦後の日独占領と比較する指摘に国家建設の難しさを痛感しました。2026/06/04

さとうしん

15
1巻に比べて直近の国際問題に寄せすぎて取り上げる地域の偏りが出てしまったなという印象(具体的には中東地域に関する章が特に多い)。執筆者の確保の問題もあるだろうが、関係する国が多い(あるいは多かった)南シナ海の問題なども取り上げればよかったのではないか。2026/05/16

さかな

5
中東に非国家主体が出てくるのは行政サービス治安維持能力が行き渡ってない弱い国家だったから。そうするとそのサービスを国家以外の組織が担うようになるが国家はそれを排除そうして内戦へ レイプハルトは多民族な社会では民主主義は機能しないと定説に異議を唱え多極共存型民主主義を提言。各集団の要望を集約しそれを実現できる能力を持つ政治エリートが他のエリートと妥協を重ねる政治そうすれば社会的亀裂は克服できるしかしホロウィツは代表する集団を優先するようになり民族亀裂拡大懸念対策として一定数自民族以外の得票を得ないと当選でき2026/06/27

千恵蔵

4
『1』に続き。紛争や戦争を「民族や宗教の対立」という単純な物語ではなく、国家能力、国家建設、実効支配、包摂性、平和構築といった比較政治学の視点から丁寧に読み解く。事例は中東、ウクライナ、シリア、ボスニア、アフリカ、インドネシアなど多彩で、どれも「国家とは何か」という問いへ収束していく。最後のミャンマー内戦の項は、全体の視点を現在進行形の紛争へ向け直す総括となっており、「世界政治を学ぶとは、忘れられつつある紛争にも関心を持ち続ける事」という要旨が心に残った。比較政治学・紛争研究の入門書として読み応え十分。 2026/07/04

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