ちくま新書<br> 世界政治1 ――民主化と権威主義化

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ちくま新書
世界政治1 ――民主化と権威主義化

  • ISBN:9784480077448

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内容説明

トランプやプーチンはなぜ出現したのか
民主主義はどうなるのか――

世界の今がわかる
新しい政治学入門

世界の政治が、日本人から遠い存在になってしまっている。それは、国際政治学では説明しきれないテーマや出来事が数多くあるからでもあろう。そこで第一線の政治学者の知を結集し、比較政治学のツールで世界各国の政治を見ていくのが、新シリーズ『世界政治』。第1巻では、近年世界を席巻している「民主主義の後退」と「権威主義化」の二つの現象を考察。世界各国のケースを紹介しつつ、最新の政治的現象の分析から構造的な問題の俯瞰までをカバーする、全く新しい政治学入門。

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【目次】
序章 世界政治をどうみるか(岩崎正洋)

第1章 世界政治における民主主義の問題(杉浦功一)
1 世界政治における民主主義の危機?
2 民主主義の後退
3 民主主義の防衛へ向けて

第2章 アメリカの民主主義の現在(梅川葉菜)
1 現代アメリカの民主主義――枠組みと問題関心
2 包摂と排除の政治
3 代表制の歪みと過大代表された政党による統治
4 現代アメリカと民主主義の脆弱性

第3章 個人化するロシアの権威主義体制(溝口修平)
1 新たな独裁者の時代
2 プーチンによる権力掌握
3 エリートの統制
4 第二次プーチン政権における個人化の進展
5 ウクライナ侵攻とロシアの行方

第4章 タイの民主主義に未来はないのか――革新派政党の挑戦(外山文子)
1 「民主主義の後退」の先駆け――クーデタ13回のタイ
2 既得権益ネットワークの形成と拡大――民主主義vs「ディープ・ステイト」
3 民主主義のラストホープ?――タイ革新派政党の誕生
4 あくまで議場で戦う――革新派政党の戦略転換と苦悩

第5章 カンボジア「民主化」後の世襲独裁――人民党支配の半世紀(山田裕史)
1 「民主化」という逆説――カンボジアからの視座
2 人民党支配の起源と構造
3 独裁強化と王朝化の進展――選挙操作から世襲へ
4 越境する権威主義――日本という最前線と民主化支援への教訓

第6章 インドネシアにおける民主主義の後退(増原綾子)
1 民主主義の定着から後退へ
2 民主的な制度構築と民主政治の実践――第一フェーズから第二フェーズまで
3 民主化進展の裏で構造化する問題
4 民主主義後退の時代――第三フェーズ
5 なぜインドネシアで民主主義は後退しているのか

第7章 エクアドル民主制のゆくえ――後退からの脱却(宮地隆廣)
1 ラテンアメリカにおける民主制の後退
2 エクアドルにおける民主制の後退
3 民主制の後退からの脱却
4 民主制の後退に対する捉え方

第8章 南アフリカの民主主義の現在地(牧野久美子)
1 南アフリカの民主化と一党優位
2 優位政党としてのANC
3 ANC一党優位の衰退と終焉
4 ポスト一党優位時代の南アフリカの民主主義

第9章 アラビア半島の権威主義国家――石油・君主制・移民(松尾昌樹)
1 権威主義国の優等生
2 君主制
3 石油――レンティア国家とは何か
4 移民エスノクラシー――移民を権威主義統治に活用する

第10章 国際的な民主化支援とその激変(市原麻衣子)
1 激変する民主化支援
2 米国による民主化支援の大幅な弱体化
3 他国による民主化支援への期待と現状
4 変化が及ぼす影響
5 今後の展望

コラム1 独裁体制の変貌(東島雅昌)
コラム2 韓国の民主化と権威主義の遺産(安周永)
コラム3 中国政治と民主化論(小嶋華津子)
コラム4 ベネズエラの政治危機(宮地隆廣)
コラム5 競争的権威主義の欺瞞を突くモザンビークのZ世代(網中昭世)
コラム6 国連と民主化(杉浦功一)

【各章・コラム執筆者】
杉浦功一 文教大学国際学部教授。
梅川葉菜 駒澤大学法学部教授。
溝口修平 法政大学法学部教授。
外山文子 筑波大学人文社会系准教授。
山田裕史 新潟国際情報大学国際学部教授。
増原綾子 亜細亜大学国際関係学部教授。
宮地隆廣 東京大学大学院総合文化研究科教授。
牧野久美子 日本貿易振興機構アジア経済研究所主任調査研究員。
松尾昌樹 宇都宮大学国際学部教授。
市原麻衣子 一橋大学大学院法学研究科教授。
東島雅昌 東京大学社会科学研究所教授。
安周永 龍谷大学政策学部教授。
小嶋華津子 慶應義塾大学法学部教授。
網中昭世 アジア経済研究所地域研究センター・アフリカ・ラテンアメリカ研究グループ長。

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目次

序章 世界政治をどうみるか 岩崎正洋/世界政治への視点/本シリーズの構成/民主化の波/「権威主義の世紀」となるのか?/本書の構成/第1章 世界政治における民主主義の問題 杉浦功一/1 世界政治における民主主義の危機?/民主主義への楽観と悲観/「民主主義」への根強い支持?/2 民主主義の後退/世界的な民主主義の後退と権威主義化の波/民主主義の後退の特徴/3 民主主義の防衛へ向けて/民主主義の強靱性と防衛/国内レベルの民主主義の防衛/国際的な民主主義の防衛/第2章 アメリカの民主主義の現在 梅川葉菜/1 現代アメリカの民主主義──枠組みと問題関心/トランプ時代のアメリカ/政治的分極化と党派的な人口分布/2 包摂と排除の政治/属性にもとづく排除と階層化の歴史/現代の包摂と排除の党派化/経済的不平等と「プルートクラティック・ポピュリズム」/3 代表制の歪みと過大代表された政党による統治/連邦議会上院と選挙人団制度──州間の平等と一票の価値の格差/単純小選挙区制・勝者総取り制・選挙区割再編──死票・余剰票と党派的ゲリマンダリング/党派的な人口分布がもたらす共和党の構造的優位/4 現代アメリカと民主主義の脆弱性/民主主義そのものへの挑戦/市民社会の再編と草の根の動員/今後の展望/第3章 個人化するロシアの権威主義体制 溝口修平/1 新たな独裁者の時代/個人独裁の特徴とジレンマ/2 プーチンによる権力掌握/対テロ作戦/国民の生活水準改善/3 エリートの統制/中央集権化と「統一ロシア」の発展/オリガルヒの排除/プーチン人脈の確立/4 第二次プーチン政権における個人化の進展/逆風の中での船出/抑圧の強化/「保守的転回」と反欧米主義/政権の長期化/5 ウクライナ侵攻とロシアの行方/第4章 タイの民主主義に未来はないのか──革新派政党の挑戦 外山文子/1 「民主主義の後退」の先駆け──クーデター一三回のタイ/世界的な「民主主義の後退」/タイ──「民主化の優等生」から「権威主義の再来」へ/2 既得権益ネットワークの形成と拡大──民主主義vs「ディープ・ステイト」/冷戦期における「ディープ・ステイト」の誕生/政党政治の興隆──タックシン政権の登場/政党政治に対する弾圧──クーデター、裁判所/3 民主主義のラストホープ?──タイ革新派政党の誕生/新未来党の誕生/新未来党の新規性/二〇一九年総選挙での躍進から解党へ/4 あくまで議場で戦う──革新派政党の戦略転換と苦悩/路上デモと不敬罪による統制/二〇二三年総選挙の勝利と連立政権樹立の頓挫/国民党の駆け引きと変わらない理想/第5章 カンボジア「民主化」後の世襲独裁──人民党支配の半世紀 山田裕史/1 「民主化」という逆説──カンボジアからの視座/民主化モデルの蹉跌/競争的権威主義の視角と本章の位置づけ/2 人民党支配の起源と構造/党=国家体制の形成とK5計画/党=国家体制の再構築/国際援助の政治的転用/3 独裁強化と王朝化の進展──選挙操作から世襲へ/二〇一三年「選挙ショック」から覇権的権威主義への移行/世襲への布石──野党の排除と分断/「集団的世襲」と「院政」の確立/4 越境する権威主義──日本という最前線と民主化支援への教訓/組織化される越境弾圧と「人質」による転向強制/訪日野党指導者への弾圧と主権侵害の疑い/「進化する独裁」の諸相/問われる日本の対応/第6章 インドネシアにおける民主主義の後退 増原綾子/1 民主主義の定着から後退へ/2 民主的な制度構築と民主政治の実践──第一フェーズから第二フェーズまで/大統領権力と憲法改正/民主的な法制度の整備(1)──負の遺産の精算/民主的な法制度の整備(2)──汚職撲滅・労働・社会保障/3 民主化進展の裏で構造化する問題/買票が蝕む選挙と腐敗した政治家への嫌悪/政策論争のない政府と議会、国民への説明責任の喪失/政財界の融合と土地収用をめぐる紛争/社会の分断と強権的統制/4 民主主義後退の時代──第三フェーズ/権力基盤を持たない大統領による権力の集中/汚職撲滅委員会法改正と雇用創出オムニバス法制定──失われる民主化の成果/縁故主義が侵食する憲法裁判所の独立性と選挙の正当性/5 なぜインドネシアで民主主義は後退しているのか/第7章 エクアドル民主制のゆくえ──後退からの脱却 宮地隆廣/1 ラテンアメリカにおける民主制の後退/ラテンアメリカ政治の史的展開/左傾化とその類型/比較から見えるパズル/2 エクアドルにおける民主制の後退/コレア政権の登場/憲法改正/「市民革命」と政治参加の抑制/3 民主制の後退からの脱却/コレアの不出馬/モレノの政策転換/ラッソの穏健な政治運営/4 民主制の後退に対する捉え方/エクアドルの事例は何を語るのか/新たなる火種/第8章 南アフリカの民主主義の現在地 牧野久美子/1 南アフリカの民主化と一党優位/南アフリカにおける民主化の意味/一党優位をめぐる問い/2 優位政党としてのANC/優位性の核にある解放運動の歴史/民主主義の質への負の影響/3 ANC一党優位の衰退と終焉/選挙結果の推移/ANCの支持率低下の要因/派閥主義の管理の失敗/4 ポスト一党優位時代の南アフリカの民主主義/維持される民主主義/不安定化する政治/第9章 アラビア半島の権威主義国家──石油・君主制・移民 松尾昌樹/1 権威主義国の優等生/優等生の誕生/君主制と正統性/石油と移民/2 君主制/王朝君主制──支配家系への権力配分/3 石油──レンティア国家とは何か/地域研究者の論じるレンティア国家/経済学におけるレント/レントの配分/ニターカート制度──新たなレントの創出/4 移民エスノクラシー──移民を権威主義統治に活用する/帰化しない移民/移民に対する抑圧?──カファーラ制度/国民と移民、為政者の同床異夢/第10章 国際的な民主化支援とその激変 市原麻衣子/1 激変する民主化支援/2 米国による民主化支援の大幅な弱体化/規模の大きい米国の民主化支援/トランプ政権による支援激減/3 他国による民主化支援への期待と現状/萎む欧州の民主化支援/非欧米政府系アクターによる支援/4 変化が及ぼす影響/打撃を受けるグローバル・サウス/効率性と民主主義規範/5 今後の展望/コラム1 独裁体制の変貌 東島雅昌/コラム2 韓国の民主化と権威主義の遺産 安周永/コラム3 中国政治と民主化論 小嶋華津子/コラム4 ベネズエラの政治危機 宮地隆廣/コラム5 競争的権威主義の欺瞞を突くモザンビークのZ世代 網中昭世/コラム6 国連と民主化 杉浦功一/あとがき 岩崎正洋/編・執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

12
タイトルからは伝わらないが、比較政治学のシリーズ。今回は民主化と権威主義化をテーマに世界各地の事例を取り上げている。個人的に東アジア諸国がほとんどコラムでしか取り上げられていないのが残念だが、現在揺れ続けているアメリカ、そしてウクライナに侵攻したロシア、そして一旦は民主化を目指しながらも権威主義化へと反転してしまったカンボジア、逆に民主化の後退から脱却したエクアドルなど、興味深い事例が取り上げられている。日本の現状をどう見るかについては読者が考えてほしいということだろうか。2026/04/12

O次郎

3
「歴史の終わり」から約35年でここまで世界中の自由民主主義が衰退していることに暗澹たる気持ちとなる。深刻なのはロシアにせよ、インドネシアにせよ、民主化の後退による権威主義化の発生は民意に依る部分も大きいという点だろう。経済格差や「民主的政府」の機能不全による政治不信がポピュリズムと強い政治への渇望を招き、結果として民主政治を損ねる。最近の日本でも人気のある政権に対する野党やメディアの批判が凄まじい批判を浴びることを思うと決して他人事ではないように思う2026/04/12

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