内容説明
終わらせてなるものか――。
殺戮因果連鎖憑依体――
古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれる脅威と戦ってきた三つの組織は、月の知性体《一二〇》からの電子的侵攻を一時的に封じ、ワームホールゲートの管理権限を失う危機を土壇場で回避した。
それでも世界は、依然として崖っぷちにあった。百刈燈をはじめとする三名の依代が再び肉体を乗っ取られるまで、およそ五十日しか残されていないうえ、白鬼を宿した朋之浦結を奪取すべく、《一二〇》が地上侵攻してくる可能性すら高いのだ。状況を打破する唯一の道は、白鬼の所在を秘匿したうえで、時間切れまでに《一二〇》との和睦を果たすことのみ。
月を目指すロケットが突貫工事で準備され、少女たちが夜空の逃避行を続けるなか、ゲート組織たる《門部》、《ゲオルギウス会》、《I》にて可能な限りの準備と再編が進み、かつて敵だった者まで含め、戦力が続々と集結していく。そんな彼らの前に圧倒的絶望の光景が立ちはだかるとき、集った“我ら”は、いかに戦い抜くのか――。
人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。終焉に立ち向かう、一致団結の第8弾。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なっぱaaua
50
最高。衝撃の前巻読んだのが4年前だったか。今巻は今迄出てきた登場人物達に少しずつスポットライトを与えて前巻までの内容を思い出させてくれる内容になっている。そしてジェットコースターの様な物語ではあるのだが今巻は今迄で一番静かな内容だったのではないか。それでも人は死ぬけどさ。次巻最終巻の最終決戦。天之御中主神との対決or和平。最後の盛り上がりをどう描くのか期待でワクワクする。ライトノーベルレーベルだけど表現もラノベ的ではあるけど圧倒的なガチSF。SF好きは読むべき。いや全人類読んで!そして最終巻早く刊行して。2025/05/16
chiseiok
28
自分的に人生最高のSF作品三本…のうちに間違いなく入るシリーズ。待ちに待ちに待った第8巻。人類絶滅か否か、ジャッジメント・デイの一ヶ月前、みんなどこで何をしているのか?その様子がまったりと描かれている。まぁその中でバトルもあれば犠牲者も出ているのだけれど、どこかのんびりした雰囲気。なるようにしかなんないよね〜って。前作からかなり間隔が空いての刊行なので、印象薄いキャラも居るのだけれど、全く関係なしに楽しめた。次が最終巻との事だけれど、それは淋しすぎる。夢枕獏さん作品のようにどんどん延びて欲しいなぁ(笑)。2025/05/20
本の蟲
21
人類終了のお知らせ連打。毎度のことながら「これ以上はもうないだろ」と思わせる絶望展開の重ね掛け。日常の影で「鬼」と戦うよくある退魔もの、と見せかけて1巻からガチンコSFだったが、異星知性、ある種のbotとの対話交渉ってどうするんだ。殺戮因果憑依連鎖体の正体も楽しみすぎる。マーシアンズは随分作者に優遇されてるが、可愛いからわかる。驚いたのは「彼」の再登場。酷い目に合えと思っていたけど、充分あったようなので許す。超絶面白いSFなんだけど、大型書店はしごしてようやく買えたよ。もっと冊数入荷しろ。もっと流行れー!2025/04/20
ABCorenge
10
最終章の前巻。ラストにピークを持ってくるため、今回は下準備や根回し、重要キャラの動向などにスポットが当てられている。壮大なラストになりそう。最初はただの異能バトルかと思ってたのに、捨環戦から怒涛の展開に。次巻はよ。2025/05/23
椎名
8
四年ぶりの新刊で内容をすっかり忘れていたのだが、読み始めてみると不思議と前世の記憶を取り戻すかのようにするすると思い出せてしまうのは本当に面白い作品、そしてかつてそれだけのめり込んで読んだシリーズだからこそだなあ。人類滅亡、最終決戦の序章となる巻。次巻で恐らく完結か。風呂敷を畳むための丁寧な整理と下準備がされた印象。引きがやっぱりアツい。「あとさ、君は、ヒトを、人間ってものを、舐めすぎてる」隔絶があり、違う知性を持ち、理解はできない。けれどそれは多分、断絶にはなり得ないのだ。次はいったいいつに……。2025/06/28