内容説明
カランバスのもと元首にして真の主治医ニーナ氏率いる〈医療交流団〉一行が、竜医療先進国イヅルへ赴いた。目的は幼竜チューダの翼の治療法を聞き出すこと。そう簡単に教えてくれるとは思えないので、餌もちゃんと用意してある。竜の細胞を移植した目をもつリョウの存在だ。そのため成績優秀なレオやリリと一緒に赤点すれすれのリョウも同行したのだ。〈竜舞う国〉イヅルは、その名のとおり沢山の竜が訪れる豊穣の地。そこでリョウは治療のためにイヅルに降りた竜〈青のアルワン〉を見た。医療と人のあり方を問う、異世界本格医療ファンタジイ。/【目次】プロローグ/カルテ10 竜舞う国の、夜の目の医師/カルテ11 幻の竜の、幻の病/カルテ12 竜人の血と、青き竜の血/エピローグ 青の翼と、奇跡の翼
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
77
シリーズ4作目。祖国カランバスを飛び出し竜医先進国イヅルに向かったリュウ達交流団。読み始めは説明が多く感じられスローペースだった。今作は若手医師の卵達の活躍ぶりがメイン。小竜チューダをなんとか治そうとの思いは変わらない。後半の手術シーンは圧巻。想像でしかない竜の体内が目に浮かぶ描写の連続に一気読み。やはりこの作品は医療シーンがリアルでゾクゾクする。国や政治、医療問題や大人の事情が絡むあたりは現代社会と変わらず、風刺が聞いている。次作は一年後、また楽しみに待っていよう。2025/04/20
さつき
54
いよいよ医療大国イヅルへ。リョウとニーナ師だけでなくお馴染みの仲間も一緒で良かった。思いもよらない展開でびっくりしましたが、ラストシーンの素晴らしさにうっとり。幼いものへの優しさ、思いやりに溢れた青の竜アルワンの未来が明るいものでありますように。そしてチューダの健やかな成長を祈ります。2025/05/04
よっち
33
幼竜チューダの翼の治療法を求め、最先端の竜医療国イヅルへ赴いたカランバス〈医療交流団〉。リョウたちは治療のためイヅルに降りた竜・青のアルワンと出会う第4弾。沢山の竜が訪れる豊穣の地で〈竜舞う国〉と言われるイヅル。竜医療が進み国民の意識も高い国ゆえの圧倒的な医療体制の一方で、突き詰めた選民的な思想や思わぬ陰謀が浮き彫りになっていく展開でしたけど、竜が危機的状況に陥った時にどうすべきか、命の尊さを優先できるリョウたちの決断と協力してくれる仲間たちの絆があって、力を合わせて乗り越えた結末はなかなか良かったです。2025/05/13
すがはら
30
多くの竜が集まるヤポネの国イヅルにやって来ました。国民全員が医療の知識を持っていて何かあったらテキパキ動けるというのが凄い。竜の行動次第ですぐに大惨事になるのだから、竜の生態や体調は日頃から皆の関心事項なのでしょう。それにしても血に弱い医者って大変そう。レオが血を見ないですむ分野を見つけられるといいけど、なまじ優秀だから逃げられないなんてお気の毒。今回のテーマ、優生思想の闇は深いです。ただ、手術で治せるもので、しかも先天性とは限らない障害まで排除するのは絶対にやり過ぎかと。クズリの再登場はあるのかどうか。2025/04/24
ときわ
14
毎回人間社会の重いテーマを竜の治療に託して語ってくれる作者。今回は私たちの歴史に何度も登場しているテーマ。否定されてもその考え方はずっと残る。それにしても「データ」の字が小さすぎませんか?小さい字を読むのが大変なので読み飛ばしてた。後から読んだら、読まなかったなんてとんでもない事だった。でも結果的には本文を全部読んでから読んだのは良かった気もする。2025/05/23
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