内容説明
この世は竜の創りしもの。竜のあるところに豊穣あり。だが竜が病む時、彼らは破壊をもたらす。〈竜ノ医師団〉とは竜の病を退ける者。極北の国カランバス。虐げられし民ヤポネ人の少年リョウは、憲兵から逃れ必死で飛空船の発着場を目指していた。〈竜ノ医師団〉は治外法権、飛空船で辿り着き入団できれば、ヤポネ人でも道が開ける。発着場に向かう途中リョウは、上流階級のお坊ちゃんレオニートに出会う。彼も医師団に入団したいというのだ。二人は協力して船に乗りこむが……。『水使いの森』で第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の著者が贈る、竜の医師を目指す少年たちの物語。/【目次】プロローグ/カルテ1 咽喉(のど)の痛みと、竜の爆炎/カルテ2 全身の痒(かゆ)みと、竜の爪/カルテ3 もの忘れ、ふらつき、そして竜巻(たつまき)/解説=小出和代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
279
人間ではなく老竜デイドゥスの為の医師を目指す虐げられた民族ヤポネの少年リョウと金持ちのボンボン、レオニートが出会い奮闘する痛快な異世界SFファンタジー小説です。竜の挙動で自然災害も起きて人間にとって厄介な存在ですが、それでも悲壮感はなくて非常にユーモラスな読み心地ですよ。他の生徒に比べて教育を受けられなかったハンディキャップを背負いながらも試験を目指し懸命に頑張るリョウと超エリートだが血を見るのが苦手なレオニートの友情物語の味わいが良いですね。既刊の2巻も早急に読もうと思いますね。#NetGalleyJP2024/04/09
ナミのママ
103
〈シリーズ1作目〉著者は医師と写真家の女性執筆ユニット。高齢で巨体の竜・ディドウスが住まう国カラバンス。その国で竜の医師をめざす少年2人。2人の出自にはそれぞれ事情があり、あとにひけない〈竜の医師団〉への入団。対する推定年齢4120歳のディドウスはあちこちの不具合を訴えるが、ものぐさで動きたくないというじぃさん。その姿と症状は人間と重なり、笑える部分もあるが悲哀も感じる。文章が巧みで想像しやすいファンタジー。面白い。2025/01/01
さつき
73
山のように巨大な竜が存在する世界。豊穣の源だけれど年を取り病むと天災を呼ぶ。恵みも災厄も桁外れに大きいため、その健康は人間にとっても極めて重要で竜専門の医師団がある。奇想天外な設定がむしろリアルに感じられるほど緻密な世界観で物語に惹きつけられます。差別され不幸な生い立ちのリョウと、お坊ちゃん育ちのレオニート、医師団で生まれ育ったリリ。個性豊かな学生達がどう成長していくのか、これからの展開が楽しみです。2024/04/14
猿吉君
62
医師団1作目、タイトル通りに竜のお医者さんしてます、とにかくでかいから大変です!①主人公リュウジの底辺からの成り上がりと言い特殊能力と言いしゃべり方と言いかなり最近のラノベ入ってます、私は気になりませんでしたが。②お約束のかっこいいライバルも性格が良いから嫌味なし。③食べ物が美味しそうなのが食いしん坊にはたまらんです。④竜が大き過ぎてスケール感がわきません、アニメ化してください(笑)点数85/100→初作のつかみはかなり良いのではないでしょうか、いろんな病気を治していってほしいです、次巻読みます。2025/02/02
kouya
58
竜を治療する医師を目指すファンタジー。竜の病名は人間と同じだが、違うのは病名がわかるまで長くかかり、わかっても治療には竜の同意が必要。4000年生きた竜を爺さんと呼びながら説得し、嫌な治療でも人間を頼りにしている竜との関係性が良い。4話目のもの忘れ、ふらつき、そして竜巻。泣けた。映像で観たい。2025/07/18