内容説明
宮本文学初の大河歴史小説、堂々の開幕篇!
幕末・維新の激動に立ちむかった「富山の薬売り」たちの知恵と勇気。
人を導く、「大いなる力」とは何か?
人間を描き続けてきた宮本文学の集大成にして初の歴史小説、堂々の開幕篇。
幕末の越中富山に生まれた川上弥一は、藩を挙げての産業・売薬業に身を投じる。
やがて薩摩藩を担当する行商人となった弥一は、じょじょに薩摩藩の内情に通じてゆき、薬売りと薩摩藩をつなぐ「秘密」に気づき始める――
黒船来航、幕府の危機を背景とした壮大な物語が、今はじまる。
第二の開国(グローバリゼーションや通貨変動)にさらされる現代日本人にとって「羅針盤」となる大長編!
※初回配本限定特典「讀む藥」は、電子書籍版には収録されておりません。ご了承のほど、お願いいたします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
201
宮本 輝は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。構想二十年、執筆十年、著者初の大河歴史小説巨編、全四巻2,000頁、四か月連続刊行の一冊目、堂々の開幕篇でした。越中富山薬行商人のこじんまりと話かと思いきや、幕末から明治激動の時代、日本・諸外国を巻き込んだ壮大な物語です。今から第二巻(2月下旬刊行)が待ち遠しい、著者晩年の代表作の予感、少し気が早いですが、今年のBEST20候補となりました。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639193622025/02/05
KAZOO
114
宮本さんの新刊です。今までにない時代もので4カ月連続で出版される幕末長編物です。川上弥一という人物の語りによるもので、越中八尾の紙問屋の跡取りですが、若いころから目を掛けられ薬売りの元へ修行に出されます。そこで薩摩へ行き、様々な事件に巻き込まれていきます。読みやすく楽しんでいます。文藝春秋の3月号に、この本に関する宮本輝さんと磯田道史さんの対談が掲載されています。参考になります。2025/02/12
しゅう
96
著者初の歴史大河小説。越中富山の薬売り、川上弥一を主人公に据え、一人語りの形式で描かれる。時代は幕末が舞台だ。著者が過去作でも度々テーマとしてきた「人は幸せになるために生まれてきた」の思想が今作でも語られる。ペリー来航、島津斉彬の死など歴史的事象も描かれ、幕末が紐解かれる楽しみもある。それにしても干し昆布がそんなに貴重なものだったとは知らなかった。2025/08/16
ゆみねこ
77
宮本さん初の歴史小説。幕末動乱の時代、越中富山の薬売り・川上弥一の物語。富山の薬売りの歴史、薩摩との関わり、とても興味深い。四ヶ月連続刊行ということなので先が楽しみ!2025/02/09
キムチ
73
訳ありで長い間離れた筆者の作品。富山薬種業がテーマという事、筆者の初の時代物、しかも雌伏10年という発酵時間に惹かれた。主人公弥一のモノローグ的語り、蘊蓄めき横道に逸れること多々でなかなか頁進まず。しかもこの時間の時代物は嫌というほど多々才人の筆を追ってきただけにダレルのも仕方ない?越中Vs薩摩の面白い構図‥薬種取引の髄をなす【先用後利】信頼あればこその鉄則、先々で培っていく人間関係は人後に落ちない鉄板。北前船と併せ個人的にかなり興味を抱き博物館巡りをしたのも懐かしい。薩摩に登場する調所、園田ら切れ者2025/06/27