内容説明
ついに幕府は崩壊し近代日本が始まる!
執筆足かけ十年。宮本文学、初の歴史小説、全四巻の第三巻。
時代背景は、下関戦争(1863~64)から大政奉還(1867)、鳥羽・伏見の戦い(1868)を経て、明治新政府が本格的に発足するまで。
主人公・川上弥一は新時代に対応し、富山の薬売りを近代的な「カンパニー」に脱皮させようとする。
日本の夜明け前を、勇気をもって駆け抜けた人々の姿を描く!
<日本各地を回った富山の薬売りの鋭い観察眼と時代認識を通して、黒船来航から王政復古を経て西南戦争にいたる平和と変革の時代を描く雄渾な文学作品>
――山内昌之(東京大学名誉教授/「週刊文春」2025年2月27日号の書評より)
<「一身にして二生を経る」ほどの幕末維新の激動を乗り越えた日本人のたたずまいが巨匠の筆で活写されている。この小説は混沌の現代を生きる私たちの心の支えだ。>
――磯田道史(歴史学者・国際日本文化研究センター教授)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
166
宮本 輝は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。前月の第二巻に続いて、今月は第三巻です。第三巻 は大政奉還、江戸幕府崩壊まででした。この時代に「カンパニー」という概念があるとは思いませんでした。続いてオーラス第四巻へ、来月も読みます。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639196072025/04/18
KAZOO
108
第四巻も手元に届きました。この巻では幕府の統制が弱まっていく様子が様々な事件と共に描かれています。馬韓戦争、天狗党の乱などです。大政奉還がありまた鳥羽伏見の戦いなどで幕府が瓦解します。その事件を縦糸にしてこの主人公たちが海外からの薬が入ってくることなどを描いて、カンパニーという制度を知りそれを取り入れていこうとするところを描いています。2025/04/20
ともこ
30
徳川幕府が終わった。大政奉還、廃藩置県、四民平等、太陽暦・・と世はどんどん移り変わっていくが人々は着いていけるのか。取り分け武士は。明治の世になり富山の薬売りはどうなっていくのか。売薬業をカンパニー、あるいはユニオンにと前向きに考えながらも、生きることに疑問を感じ、いまひとつ力の湧かない弥一。これまでの活躍続きを思うと、むしろ人間味を感じる。最終巻、弥一は再び立ち上がれるのか。第4巻が待たれる。毎回の表紙を飾る村田涼平さんの絵がなんとも美しい。2025/04/18
クボタ
22
3巻も面白かった。幕末の京都の街は危なくてビクビクしながら住民は生活していたのだろうとこの物語を読んで思った。今までは戊辰戦争が何時起こってなど歴史について考えるだけだったがその時に生きていた人のことを考えさせられた。4巻が楽しみ。2025/04/23
mitubatigril
15
怒涛の幕末 一介の薬売りが身に染みてくる大政奉還?とはなんぞや 薩摩がこの国からを治めるのか フランスやエゲレス にアメリカと虎視眈々と日の本を狙っているように感じる 富山の薬売りにとっては今どう動いていけば良いのか? 宮本節の時代小説に慣れてきてらしさも感じてくる第3巻 次が最終巻なんて早いなぁと感じる読後です。 2025/05/03