内容説明
「ナオが決めて、いいんだよ。ナオとして生きていくか。それとも……私の中に戻ってくるか」
素直に与えられた猶予は、一か月とすこし。オリジナルのために働く〈レプリカ〉である私の心は、もう決まっていて。
そして、やって来たクリスマスの日。
観覧車の中で、私はアキくんにお別れを告げた。
なんにも後悔はない、そのはずだったんだけど――。
冬はいつの間にか終わり、春がもういちど、私のもとに訪れる。
レプリカと、オリジナル。二人がひとつの答えに辿り着く、第4巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
合縁奇縁
34
『さようなら、“私”。彼のもとへと走っていく、春。』「ナオが決めて、いいんだよ。ナオとして生きていくか。それとも・・・・・・私の中に戻ってくるか」 素直に与えられた猶予は、一か月とすこし。オリジナルのために働く〈レプリカ〉である私の心は、もう決まっていて。 そして、やって来たクリスマスの日。 観覧車の中で、私はアキくんにお別れを告げた。なんにも後悔はない、そのはずだったんだけど――。「レプリコ」シリーズ第4弾。本編ナオの物語、最終章。素直の元に戻るか、個として生きるか。ナオに厳しい選択が迫られる。2024/08/10
よっち
34
「ナオが決めて、いいんだよ。ナオとして生きていくか。私の中に戻ってくるか」素直に与えられた猶予は一か月とすこし。レプリカとオリジナル。二人がひとつの答えに辿り着く第4弾。オリジナルのために働く〈レプリカ〉であるナオの心は、もう決まっていて。そして、やって来たクリスマスの日。観覧車の中でアキくんにお別れを告げたナオ。なんにも後悔はない、そのはずだった彼女が知ったもう一つの世界があって、そんな中で改めて自覚していく想いがあって、ひたむきで一途な想いにもう一度向き合うことができたその結末には救われる思いでした。2024/07/10
なみ
19
レプリカのナオが、大きな決断をするシリーズ4作目。 前半では高校生たちの青春模様が爽やかに描かれていて、読んでいてとても楽しかったです。 後半は畳み掛けてくるような怒涛の展開の連続で、情緒がジェットコースターでした。 もう会えないと思っていたあの人にも会えて嬉しかったです! ただの模造品だったナオが、1人の人間になるまでの軌跡を思い出して、涙ぐんでしまうようなラストでした。2024/10/11
冬野
16
シリーズ第四弾。三巻の感想で「どちらに転んでもしんどい」「全員が幸せになる道あってくれ頼む」と書いていた自分へ…ハッピーエンド、存在したよ~!前巻の結末からどんな展開が…と覚悟して臨んだら序盤は意外に穏やか。クリスマスの遊園地のシーンの楽しい!からしんどい…への落差に胸が締め付けられる。そこからは怒涛の連続。ただただ辛かった二巻の終盤に対する救済要素も用意されており、なんて手厚いの…とありがたく感じた(静岡の方角へ拝む)。少し切ないハッピーエンド、一番好き。素直視点の五巻も読めるのが楽しみです。星:5/52024/07/29
椎名
16
ここで一旦〝レプリカ〟の物語は終わり、そして素直の物語が始まるのだろう。個人的には美しいハッピーエンドだと思う。悩んで、苦しんで、それでも自分自身で選んだ、ナオ自身の結末だ。素直が誰にも教えたくない、ナオであっても共有したくない、二人だけの思い出だからとハッキリ言ってくれたのは確かにナオの気持ちとリンクして、その背中を押した。突き放すような言葉は、優しく彼女を一人の人間として認めて送り出す言葉だった。そんな言葉を言えるようになった彼女の物語が見れそうなこともまた嬉しい。とても美しい一冊だった。2024/07/15