内容説明
単位取得をめぐり、殺気立つキャンパス。民俗学者・蓮杖那智の助手・内藤三國は、最近学生たちからやたら写真を求められることに首をかしげていた。どうやら学生たちの間では、ある条件のもと撮影した内藤先生の写真を身に着けておくと、単位を落とさないという噂が広まっているらしい。そんな折、内藤は那智の命により、ある村を凶事から守るという人形〈御守様〉の調査のため、小さな山村へと赴く。しかし、そこで待ち受けていたのは、驚くべき事件だった(「憑代忌」)。歴史に不滅の名を刻みつつも、いまだ謎のヴェールに包まれた、東洲斎写楽。蓮丈那智は、古文書の調査に訪れたはずの四国で、その浮世絵の知られざる秘密へ足を踏み入れることになる(表題作)など全4篇を収録する本格民俗学ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
92
「見える絵が見えなくなるとき、見えない絵が見えてくる」。写楽に関する本を探してこちらを。著者のこのシリーズは未読でしかも3作目だが、本格ミステリと民俗学に写楽という結び付きに惹かれて読んでみた。最初の短篇でキャラの特色と相関を掴む。探偵役である異端の民俗学者・那智と二人の助手役の掛け合いが良い。折口信夫のマレビト、憑代、鳥居の起源、伝承される数え歌など霊妙な不可思議さが語られる中、登場人物の人間味ある会話に和む。そして表題作の中篇が読み応えあり。最後に遂にと思わせるものがあった。シリーズ他作品も読みたい。2024/11/28
こら
37
民俗学者蓮杖那智シリーズ第3弾。前巻で新たに研究室に加わった由美子とミクニとのコンビ芸(?)がなにやら微笑ましい♪推しの「キツネ目の男」(グリ森事件の犯人かww)こと高杉さんも存在感マシマシ!2人ともすっかり主要メンバー!圧巻はやはり表題作の「写楽・考」。今までの収録作より倍の紙幅で描かれた力作。その分のスケール感を充分に堪能。着地点も凄い!冬狐堂や香菜里屋のマスター等、他作品の登場人物がコラボ出演してるので、この機会に読友さんにオススメされた『花の下にて春死なむ』を手に取ってみました。こちらも楽しみ!2025/04/17
ま~くん
26
短篇4作品。題名の写楽・考が秀逸。民俗学の第一人者にして学界の異端児、蓮丈那智と助手2人の活躍で真相に迫っていく。個人的にはあまり聞き慣れない民俗学という学問。フィールドワーク中に次々と降りかかる不可解な出来事には時に歴史上の超有名人が絡んでくる。今回も最終話に東洲斎写楽やヨーロッパの知らない人はいない画家の名前が。歴史の闇や隠れた真実を那智の独自の解釈で炙り出していく様はとにかく面白い。日本史のありとあらゆる謎に向き合って欲しかったが、著者は既に他界されているとのこと。残念だが残りの作品も読んでみたい。2025/01/13
ぶんぶん
22
【図書館】蓮杖那智シリーズ、第3弾! 今回も面白い! こうなるかなって思うと引っくり返される、こうはならないと思うとスンナリいく、北森鴻に引きずり回される快感(笑) いよいよ、「佐江由美子」がレギュラー入り、別シリーズの「宇佐美陶子」の再登場、これで女三人衆が揃った、凄いメンバーだ。 そして、狐目の男の正体と本名も。 表題作の現れ方も秀逸である。 いよいよ、未完の絶筆作「邪馬台」へ手を伸ばすか・・・2024/11/06
ほたる
13
少しばかり長い表題作。そして読み終わった瞬間に傑作と確信する。蓮丈那智を含むキャラクターたちの魅力、事件解決に至るまでのミステリとしての秀逸さ、そしてなんと言っても民俗学の論考に基づいた圧巻の幕引き。ただただその凄さに茫然とする。2024/11/02
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